サハデーヴァ
タントリパーラ · サデワ(ジャワ)
パーンダヴァ五兄弟の末弟でアシュヴィン双神の子。占星と未来を読む知識に長け、骰子賭博の恨みを晴らして伯父シャクニを討った。
解説
概要
サハデーヴァ(Sahadeva / सहदेव)は『マハーバーラタ』の登場人物で、パーンダヴァ五兄弟の末弟である。クル王パーンドゥの第二妃マードリーが、神々の医師アシュヴィン双神を招いて授かった双子の弟にあたり、兄がナクラである。占星と未来を読む知識に長け、五兄弟のうち最も学識のある者とされる。剣術にも優れた。
神話・物語
母マードリーが父の死に殉じたのち、兄たちの母クンティーに実子同様に育てられた。体が弱いことを義母が案じる記述が叙事詩に見える。
彼を特徴づけるのは、知っていながら語らないという役どころである。占星の知識によって先を見通しながら、問われぬかぎり口を開かない。骰子賭博で妻ドラウパディーが辱められたとき、彼は詐術を弄した叔父シャクニを必ず討つと誓った。クルクシェートラの戦い十八日目、総大将シャリヤが倒れたのちにガンダーラ軍と交え、シャクニの首を刎ねてこの誓いを果たしている。
ユディシュティラの皇帝即位式にあたっては南方へ派遣され、諸国を従えた。追放最後の一年をマツヤ国で過ごしたときは、タントリパーラと名乗って王の牛を管理する牧夫に扮している。開戦の準備にあたってはヴィラータ王を総大将に推したが、ユディシュティラとアルジュナはドリシュタデュムナを選んだ。
図像と象徴
固有の像容は伝わっていない。戦車の旗標には銀の白鳥が掲げられ、法螺貝はマニプシュパカ(宝珠の花)、弓はアシュヴィナと呼ばれた。兄と対をなす存在として、図像でも常に双子として並べて描かれる。
系譜と関係
父はパーンドゥ、生母はマードリー、実質的な父はアシュヴィン双神。双子の兄にナクラ、異母兄にユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ。五兄弟共通の妻ドラウパディーとの間にシュルタセーナをもうけた。ほかにマドラ王シャリヤの娘ヴィジャヤーを妻とする。
文化的足跡
南インドの民間伝承では、彼の予知能力に別の説明が加えられる。すべてを知りながら、問われずに語れば石になるという呪いを負っているというもので、叙事詩の破局を止められなかった理由をこの制約に求める語り口である。原典に見えない後代の解釈だが、知が必ずしも災いを防がないという主題を鋭く言い当てている。インドネシアの影絵芝居ワヤンではサデワの名で登場し、兄ナクラと常に一対で扱われる。