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呂洞賓
PLATE — 呂洞賓
SINÆ · 中国神話・道教
呂洞賓

呂洞賓

呂嵒 · 呂巌 · 呂岩

張路筆(明・16世紀初、上海博物館蔵) PUBLIC DOMAIN

道教の代表的な仙人で、八仙の筆頭に数えられる。剣を負う書生の姿で描かれ、師の鍾離権に十の試練を課された逸話と、黄粱の夢の説話で知られる。

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解説

概要

呂洞賓(りょどうひん、呂洞賓 / Lü Dòngbīn)は、道教の仙人である。名は嵒(岩・巌とも書く)、洞賓は字、号は純陽子。八仙の一人であり、そのなかでも群を抜いて人気が高い。背に剣を負う書生の姿で描かれ、元の武宗から「純陽演正警化孚佑帝君」の号を贈られて以後、王朝の公認する神仙となった。単に呂祖とも呼ばれる。唐の貞元十二年(七九六年)の生まれと伝えられるが、その生涯は伝説に厚く覆われており、歴史上の人物としての輪郭は定かでない。

黄粱の夢と十試

呂洞賓の物語の中心にあるのは、師である鍾離権(しょうりけん)との出会いである。伝えるところでは、蒲州永楽県(現在の山西省芮城県)の官人の家に生まれた呂洞賓は、出世を志して科挙を受けたが二度落第した。長安の酒場で雲房と名乗る道士――すなわち鍾離権――に出会い、修行に誘われるが、栄達の夢を捨てきれずこれを断る。鍾離権が黄粱(こうりょう、粟)を炊いているあいだにうたた寝をした呂洞賓は、夢のなかで科挙に及第し、栄達し、良家の娘を娶って子をもうけ、四十年を過ごしたのち罪を得て、家財を没収され、家族を失って左遷される。目覚めると、黄粱はまだ炊けていなかった。

栄華のはかなさを悟った呂洞賓は入門を請い、鍾離権から十の試練を課される。家族の死に取り乱さず、値切られても抗わず、乞食に罵られても笑い、飢えた虎の前に身を投げ出し、美女の誘惑に動かず、掘り当てた金塊を埋め戻し、誤って渡された金器を返し、怪しげな毒薬をためらわず飲み、荒れる川の上で端座し、襲いかかる鬼神を前に微動だにしない。すべてを果たした呂洞賓は、ついに弟子として認められ、終南山で天遁剣法と雷法を授かって仙となったという。

もっとも、この黄粱の夢の一段は、唐の沈既済『枕中記』が語る「黄粱の夢」ときわめてよく似ている。『枕中記』のほうが早く成立しており、呂洞賓伝説はこの著名な説話を後から取り込んだものと見るのが妥当である。『枕中記』の道士呂翁を呂洞賓に同定する説も生じたが、これも後付けの解釈である。

図像と象徴

呂洞賓の像は、剣と払子(ほっす)、そして書生の巾(ずきん)によって見分けられる。背に負う剣は「天遁剣法」の剣であり、これを飛ばして魔を斬るとされた。八仙のなかで彼だけが武器を負うのは、その来歴が科挙受験生でありながら降魔の術者であるという二面によるためである。青年から中年の、髭を蓄えた端正な男子として描かれることが多く、酔仙として大杯を手にする姿もある。

明の張路が絹に描いた本図のように、岩上に坐して虚空を見る姿は、宋元以降の道釈画がこの仙人に与えた典型的な相である。器物の意匠では、宝剣と払子は呂洞賓を離れて「暗八仙」の吉祥文様の一部となり、染織や漆器を飾った。年画では、剣を提げて雲上を行く姿が魔除けの図として好まれた。

信仰と系譜

呂洞賓の師は鍾離権、弟子には曹国舅らがあり、韓湘子何仙姑を弟子に数える説もある。八仙の多くが彼を結節点として結ばれており、明清の章回小説『東遊記』『八仙得道伝』などでは、鍾離権の師である東華帝君の生まれ変わりとする筋立ても見える。

道教教団のなかでは全真教がとりわけ呂洞賓を重んじる。開祖の王重陽が田舎の酒屋で呂洞賓から金丹の口訣を授かったという説話にもとづき、彼は全真教の祖師の一に数えられた。民間では、癒しの神、武の神、科挙・試験の神、財神、御神籤や占いの神、さらに理髪師や文具商の守り神として、その職能はきわめて広い。関羽と並ぶほどの人気を得たのは、この万能性のゆえでもある。

文化的足跡

呂洞賓の名を冠した詩歌や修行書は膨大に伝わるが、その多くは宋代の文体的特徴を示しており、人気に仮託した後人の作と考えられている。芝居では元曲『邯鄲道省悟黄粱夢』以来、黄粱の夢と十試が繰り返し脚色された。「狗、呂洞賓を咬む」(善人と悪人の区別がつかないことのたとえ)ということわざは、この仙人がいかに民衆に近い存在であったかを物語る。現代の映像作品やゲームにも道教の仙人としてしばしば登場する。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q698314 — 骨格データの出典
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