財神
ざいしん · 財神爺 · 文財神
中華圏で財をもたらす神の総称。文財神(比干・陶朱公)と武財神(趙公明・関羽)に分かれる。比干は心臓を抉られた忠臣で、心がないゆえに公平に財を配るとされる。旧暦正月五日に爆竹を鳴らして迎える。
解説
概要
財神(ざいしん)は、財をもたらす神として中華圏で信仰されている。財神爺ともいう。
文財神と武財神に分かれる。文財神には比干や陶朱公があり、武財神には趙公明や関羽が祀られている。
文財神
比干。 殷の紂王の叔父で、暴政を諫めて心臓を抉り出されて死んだ忠臣である。心がないゆえに偏りがなく、公平に財を配るとされた。心を失ったことが、財神としての資格になっている。
陶朱公(范蠡)。 越王勾践に仕えて呉を滅ぼしたのち、身を退いて商人となり巨富を築いた。三たび富を築き、三たびこれを人に分け与えたと伝えられる。実業によって財を得た者の代表である。
武財神
趙公明。 黒面で黒虎に跨り金鞭を持つ。もと疫病の神であったが、財神に転じた。中華圏で最も広く祀られる財神である。
関羽。 三国の武将が神格化されたもので、信義を重んじる商業倫理の象徴として祀られる。算盤を発明したという伝説もある。
財神を迎える
旧暦正月五日は「迎財神」の日とされ、爆竹を鳴らして財神を迎える。商店はこの日に開店する。
商売繁盛を祈る神が、これほど体系的に整理されている点が、中国の民間信仰の特徴である。文(学問・徳)と武(力)の対で財神を分けるのは、他の神々の分類にも共通する。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、台南の廟に祀られた財神と土地公の像である。
元宝(馬蹄形の銀の塊)を持つ姿で表される。「恭喜発財」(お金が儲かりますように)の句とともに、春節の挨拶に用いられる。
関わる神格・伝承
趙公明、関羽、比干、范蠡が該当する。土地公とともに商家に祀られる。
文化的足跡
「恭喜発財」は今日も春節の最も一般的な挨拶である。財神の像は、中華圏の商店にほぼ例外なく祀られている。
なお中国の民間信仰と道教は今日も継承されている生きた信仰であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。