ラウフェイ
ナール · Laufey · Nál
ロキの母で、名は「葉の島」を意味する。夫ファールバウティが「打つ者」=雷を表すとすれば、雷が木を打って火(ロキ)が生じるという解釈がある。ロキが父ではなく母の名で「ラウフェイの子」と呼ばれるのは北欧では異例。
解説
概要
ラウフェイ(Laufey、ナール Nál とも)は、北欧神話でロキの母とされる存在である。夫は巨人ファールバウティで、ロキのほかにビュレイストとヘルブリンディの母でもある。
神話・物語
固有の物語は伝わらない。スノッリ『ギュルヴィたぶらかし』第33章は、ロキの父をファールバウティ、母をラウフェイまたはナールとし、兄弟にビュレイストとヘルブリンディを挙げる。
名は、ラウフ(「葉」)とエイ(「島」)の複合で「葉の島」と解される。別名ナールは「針」を意味し、14世紀の『ソルリの話』は、細くか弱かったためにこの名で呼ばれたと説明する。「葉の島」と「針」がいずれも木にかかわる語であることから、雷(ファールバウティ)が木を打って火(ロキ)が生じるという自然神話の解釈が19世紀以来唱えられてきたが、確証はない(ファールバウティの項を参照)。
ロキは、父の名ではなく母の名で「ラウフェイの子」(ラウフェイヤルソン)と呼ばれる。北欧では人を父の名で呼ぶのが通例であり、これは異例である。スカルド詩にもこの呼び名が現れ、『ロキの口論』第52節ではロキ自身が、『スリュムの歌』では地の文がロキをそう呼ぶ。父の名で呼ぶ例はほとんどない。この異例については、ラウフェイの家系が高名であったとする説、ロキの性格の女性的な面と結びつける説などがある。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
夫はファールバウティ、子はロキ、ビュレイスト、ヘルブリンディ。夫が巨人であることは明記されるが、ラウフェイ自身の種族は記されない。研究者のなかにはアース神族の女とみる者もおり、そう考えれば、巨人の子であるロキがアース神族に迎えられたことの説明になるという。
文化的足跡
マーベル・コミックとその映画では、ラウフェイはロキの父である霜の巨人の王として、男の姿で描かれている。原典とは性別が異なる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。