ブラーフマニー
ブラフミー · ブラフマーのシャクティ
サプタマートリカー(七母神)の第一。創造神ブラフマーのシャクティとされ、白鳥を乗騎とし水瓶と数珠を執る女神。
解説
概要
ブラーフマニー(Brāhmaṇī / ब्राह्मणी)は、サプタマートリカー(七母神)の第一に数えられる女神である。創造神ブラフマーのシャクティ(力)とされ、その持物と乗騎を分かち合う。ブラフミーの名でも呼ばれる。
神話・物語
『デーヴィー・マーハートミヤ』第八章が伝える。魔神シュンバとニシュンバの軍と戦うにあたり、神々はそれぞれ自らの力を女性の姿として送り出した。ブラフマーから生じたのが彼女である。乗騎の白鳥に乗り、水瓶を手に現れたと記される。
七母神は女神ドゥルガーの側に立って戦い、魔神ラクタビージャとの戦いにも加わった。地に落ちた血の一滴ごとに分身が生じるこの魔神に対し、カーリーが血を呑み尽くすまでのあいだ、彼女たちがこれを支えたと語られる。
戦いののち、女神たちが元の神々のもとへ帰ったとする伝えと、そのまま独立した神格として留まったとする伝えがある。七母神が寺院の一区画にまとめて祀られる慣行は、後者の理解に立つ。
図像と象徴
四つの顔と四臂をもち、数珠と水瓶を執る。乗騎は白鳥(ハンサ)。ブラフマーの図像がそのまま女性形に写されており、七母神に共通する造形の原理を最も端的に示す。
象徴となるのは水瓶である。創造の神の力を分かち持つ者として、始まりに関わる持物が与えられている。
系譜と関係
ブラフマーのシャクティ。サプタマートリカーの体系では、ヴァイシュナヴィー、マーヘーシュヴァリー、インドラーニー、カウマーリー、ヴァーラーヒー、チャームンダーとともに一組をなす。このうち彼女から第六までは男性神の力の女性形であるのに対し、第七のチャームンダーだけは女神自身から生じた点で性格を異にする。
文化的足跡
七母神を横一列に配した浮彫は、5世紀以降のインド各地の寺院に見られる。エローラ、エレファンタ、オーサーンなどの作例が名高い。多くの場合、両端にガネーシャとシヴァ(ヴィーラバドラ)が置かれ、母神たちを挟む構成をとる。
ネパールではアシュタ・マートリカー(八母神)として、カトマンズ盆地の各都市の外縁に八つの祠が配される。都市を守る配置であり、方位守護の観念と結びついている。