ヴァイシュナヴィー
ヴィシュヌのシャクティ · ガルダの乗り手
サプタマートリカー(七母神)の第二。ヴィシュヌのシャクティとされ、輪宝と法螺貝を執りガルダを乗騎とする女神。
解説
概要
ヴァイシュナヴィー(Vaiṣṇavī / वैष्णवी)は、サプタマートリカー(七母神)の第二に数えられる女神である。ヴィシュヌのシャクティとされ、その持物と乗騎を分かち合う。
神話・物語
『デーヴィー・マーハートミヤ』第八章によれば、魔神シュンバとニシュンバとの戦いに際して、ヴィシュヌから生じた力が女性の姿をとったものである。ガルダに乗り、法螺貝、輪宝、棍棒、弓、剣を執って現れたと記される。
七母神の一員としてドゥルガーの側に立ち、魔神ラクタビージャとの戦いにも加わった。個別の説話に乏しく、七母神という組のなかで語られるのが通例である。
図像と象徴
四臂ないし六臂で、法螺貝と輪宝を執る。乗騎はガルダ。ヴィシュヌの図像を女性形に写したもので、冠と装身具も主神のそれに倣う。
象徴となるのは輪宝である。守り、秩序を保つ神の力を分かち持つ者として、その武器が与えられている。
系譜と関係
ヴィシュヌのシャクティ。サプタマートリカーの体系ではブラーフマニーに次ぐ第二の位置にあり、マーヘーシュヴァリー、インドラーニー、カウマーリー、ヴァーラーヒー、チャームンダーと一組をなす。
なお、ヴィシュヌの猪身化身ヴァラーハの力とされるヴァーラーヒーも、同じくヴィシュヌ系の母神である。一つの神から二柱が立てられている点は、化身の体系が母神の体系に反映した結果とみられる。
文化的足跡
七母神の浮彫において、彼女はつねに第二の位置に置かれる。エローラ石窟第21窟をはじめ、多くの作例が残る。
シュリーヴィディヤーの流派では、ヴァーラーヒーが女神の軍を率いる将(ダンディニー)とされるのに対し、彼女には固有の役が与えられていない。組のなかで最も個性の薄い一柱であり、そのことが逆に、七母神が個々の神格としてよりも一つの体系として機能してきたことを示している。