テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
PLATE — रक्तबीज
BHARATA · ヒンドゥー神話
रक्तबीज

ラクタビージャ

ラクタヴィージャ · 血の種

地に落ちた血の一滴ごとに分身が生じる恩寵を得たアスラ。カーリーが血を呑み尽くしたことで、ようやく討たれたとされる。

01

解説

概要

ラクタビージャ(Raktabīja / रक्तबीज)は、『デーヴィー・マーハートミヤ』に登場するアスラである。名は「血の種」を意味する。地に落ちた血の一滴ごとに、自らと同じ姿と力をもつ分身が生じるという恩寵を得ており、討てば討つほど数を増した。カーリーが血を地に触れる前に呑み尽くしたことで、ようやく倒された。

神話・物語

『デーヴィー・マーハートミヤ』第八章が伝える。魔神シュンバとニシュンバの軍にあって、彼は最強の将の一人であった。かつて苦行によって、体から流れた血が地に落ちればそこから同じ姿の者が生じるという恩寵を得ていたという。

女神ドゥルガーと七母神(サプタマートリカー)が彼と交えたとき、傷つけるたびに血が飛び散り、そのつど無数の分身が現れた。戦場は彼の分身で埋め尽くされ、神々の側は追い詰められる。

そこでドゥルガーはカーリーに命じた。カーリーは長い舌を戦場いっぱいに広げ、飛び散る血が地に触れる前にすべて呑み込み、生じた分身も残らず口へ収めた。血を失った本体はついに力尽き、討ち取られたと語られる。

無敵の条件が、その条件を無効にする一手によって破られるという構図をもつ。恩寵の文言が抜け道を含むという主題の、シャークタ派における代表例である。

図像と象徴

固有の像容は伝わっておらず、独立した礼拝像の伝統もない。図像に現れるとすれば、カーリーが舌を広げて血を受ける場面である。象徴となるのは血の一滴であり、増殖する力が同時に弱点でもあるという逆説を担う。

系譜と関係

アスラの将で、シュンバとニシュンバに仕えた。同じ軍の将としてチャンダとムンダ、ドゥームラローチャナらがあり、いずれも女神とその眷属に討たれた。カーリーがドゥルガーの怒りから生じた経緯とあわせ、この戦いは女神信仰の主要な神話をなす。

文化的足跡

ドゥルガー・プージャーやナヴァラートリの祭では、女神が魔神を討つ一連の場面が語られ演じられる。この戦いはそのなかでも視覚的に印象の強い一段であり、絵画や街頭劇に繰り返し取り上げられてきた。

血が地に触れることを恐れるという主題は、供犠の作法とも結びつけて論じられてきた。地に落ちた血が生命を生むという観念が、女神への供物の作法を規定していたとする見方である。もっとも文献がこの関係を明示するわけではない。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q7286799 — 骨格データの出典
Commons
Raktabija — 図像カテゴリ