プラジャーパティ
プラジャーパティ · 生類の主 · 造物主
「生類の主」を意味する創造神の名。『リグ・ヴェーダ』後期の讃歌で答えとして名が挙がり、ブラーフマナ文献で最高の創造神となった。のちブラフマーと同一視され、ブラフマーの意から生まれた十人ほどの創造の聖仙の総称ともなった。
解説
概要
プラジャーパティ(prajāpati、「生類の主」)は、インド神話で創造神を指す名である。ヴェーダの後期には最高の創造神の名として現れ、ブラーフマナ文献で祭式の中心に置かれた。のちのプラーナ文献では、ブラフマーが意から生んだ十人ほどの創造の聖仙を総称する呼び名ともなった。
神話・物語
『リグ・ヴェーダ』第10巻121番の讃歌は、黄金の胎児ヒラニヤガルバとして生じた創造神を歌い、各節を「いかなる神に我らは供物を捧げるべきか」(カスマイ・デーヴァーヤ)という問いで結ぶ。最後の節で、その答えとしてプラジャーパティの名が挙げられる。
ブラーフマナ文献では、プラジャーパティが最高の創造神となる。万物を生み出して力尽きたプラジャーパティは、祭式によって再びまとめ上げられると説かれ、祭式の執行は創造の神を繰り返し回復させる行為とされた。
ウパニシャッドの時代には、宇宙の根本原理としてのブラフマンが中心に置かれ、プラーナの時代にはプラジャーパティはブラフマーと同一視されるようになった。
『マヌ法典』は、ブラフマーの意から生まれた十人のプラジャーパティとして、マリーチ、アトリ、アンギラス、プラスティヤ、プラハ、クラトゥ、プラチェータス、ヴァシシュタ、ブリグ、ナーラダを挙げる。数は文献によって七人、八人、十六人などとも異なり、ダクシャを数える伝えもある。これらの多くは七聖仙と重なる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、チェンナイ政府博物館所蔵の、ブラフマーとプラジャーパティの像である。
系譜と関係
プラーナ文献ではブラフマーと同一視され、十人のプラジャーパティはブラフマーの意より生まれた子とされる。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。