クラトゥ
クラトゥ · Kratu
ブラフマーの意より生まれた七聖仙の一人で、名は「力」「祭式」を意味する。妻クリヤー(行為)とのあいだに親指ほどの大きさの六万人のヴァーラキルヤ聖仙をもうけた。ガルダの誕生の由来に関わる。
解説
概要
クラトゥ(Kratu、「力」の意)は、ヒンドゥー教において創造神ブラフマーの意より生まれた子(マーナサプトラ)の一人と記される。また二つの時代に現れる聖仙(リシ)である。
第一のマヌの時代における七聖仙(七聖仙)の一人と考えられ、ブラフマーの心から生じたと信じられている。別の伝説では、父の左目から生まれたとされる。
伝説
スヴァーヤンブヴァ・マンヴァンタラにおいて、クラトゥはプラジャーパティ、ブラフマーの子である。プラジャーパティ・カルダマの婿でもある。妻はクリヤー(「行為」)という。
クリヤーとのあいだに、六万人のヴァーラキルヤという聖仙が生まれた。ヴァーラキルヤは親指ほどの大きさの小人の聖仙で、太陽の戦車の前を進み讃歌を唱えるとされる。
『マハーバーラタ』において、ヴァーラキルヤたちがインドラを嘲笑されて怒り、インドラを凌ぐ者を生もうと祭式を行った。インドラはカシュヤパに取りなしを求め、生まれたのがガルダであるという。
第二のマンヴァンタラにおいて、クラトゥは異なる系譜で再び現れる。同じ名の聖仙が異なる時代に現れるのは、時代(マンヴァンタラ)ごとに七聖仙が交替するという観念による。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
名の「クラトゥ」は、ヴェーダにおいて「意志」「力」「祭式」を意味する重要な語である。祭式を行う力そのものが、聖仙の名になっている。
妻の名クリヤー(行為)との対も注目される。意志と行為が夫婦をなし、そこから讃歌を唱える六万の小人の聖仙が生まれる。
関わる神格・伝承
父はブラフマー、妻はクリヤー。子はヴァーラキルヤたち。七聖仙の一人。ガルダの誕生に関わる。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。七聖仙の一人として列挙される程度である。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。