アンギラス
アンギラス · アンギラー · Angiras
ヴェーダの聖仙で、神的な知識の教師にして人と神々の仲介者。火の神々の第一とされアグニと結びつく。讃歌によって岩を裂き牛を取り戻した。神々の師ブリハスパティの父。『アタルヴァ・ヴェーダ』の別名にその名を負う。
解説
概要
アンギラス(Aṅgiras)は、ヒンドゥー教のヴェーダの聖仙(リシ)である。
『リグ・ヴェーダ』において神的な知識の教師、人と神々の仲介者と記され、他の讃歌では火の神々の第一とされる。一部の文献では七聖仙(七聖仙)の一人とされるが、他では言及されながらも七聖仙の一覧には数えられない。
なお、東宝の怪獣映画に登場するアンギラスとは無関係である。
職能
アンギラスは火と密接に結びつく。『リグ・ヴェーダ』はアグニを「アンギラスの第一の者」と呼び、アンギラスの一族(アンギラサス)が火の祭式を司ったとする。
インドラがパニ族の隠した牛を取り戻したとき、アンギラスたちが讃歌によって岩を裂いたと語られる。言葉の力によって岩を裂くという主題は、ヴェーダの詩人の自負を示す。
系譜
ブラフマーの意より生まれた子の一人であり、十人のプラジャーパティの一人に数えられる。妻はスムリティ(あるいはシュラッダー)。
子には、神々の師ブリハスパティ、聖仙ウタッティヤ、そしてサンヴァルタがある。ブリハスパティが神々の祭官であることは、アンギラス一族の祭式における位置を示す。
『アタルヴァ・ヴェーダ』は、別名を『アタルヴァーンギラサ』という。アタルヴァンとアンギラスという二人の聖仙の名を冠しており、この文献の呪術的な性格がアンギラスに帰されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、アンギラスの図である。
火と言葉の結びつきが、この聖仙を規定する。火の祭式を司り、讃歌によって岩を裂く。ヴェーダにおいて、供犠の火と詩の言葉は同じ力の二つの現れである。
関わる神格・伝承
子はブリハスパティ。プラジャーパティの一人。七聖仙の一人(諸説あり)。アグニと結びつく。
文化的足跡
アンギラス一族は、バラモンの主要な氏族(ゴートラ)の一つとして今日も系譜が保たれている。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。