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普賢菩薩
PLATE — समन्तभद्र
DHARMA · 仏教の尊格
समन्तभद्र

普賢菩薩

普賢 · 遍吉 · 普賢延命菩薩

東京国立博物館蔵 国宝《絹本著色普賢菩薩像》(平安時代・12世紀) PUBLIC DOMAIN

文殊菩薩と並んで釈迦如来の脇侍をつとめる菩薩。六牙の白象に乗り、悟りを求める「行」と十大願を体現する。日本では法華経信仰とともに女性の篤い信仰を集めた。

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解説

概要

普賢菩薩(समन्तभद्र / Samantabhadra)は、大乗仏教の菩薩の一尊である。梵名は「あまねく賢い者」を意味し、遍吉とも訳された。文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍をつとめ、『華厳経』を所依とする華厳宗では毘盧遮那仏を中尊として文殊と左右に並ぶ。文殊が智を、普賢が行を担うという対比が、この二尊の関係を一貫して規定してきた。悟りを「知る」ことと「行う」こととを二人の菩薩に振り分けたところに、大乗の思想の構えが表れている。

神話・物語

普賢の性格を決めたのは、二つの経典である。『華厳経』の最終部「入法界品」では、善財童子が五十三人の善知識を訪ね歩いた末に普賢菩薩に出会い、その悟りを承認される。童子は普賢のうちに溶け入り、そこで普賢が唱えるのが十大願(普賢行願讃)である。諸仏を礼拝すること、如来の徳を讃えること、供養すること、罪を懺悔すること、他者の善を喜ぶこと、説法を請うこと、仏がこの世にとどまるよう願うこと、仏に学ぶこと、衆生に随い応じること、そして得た功徳をすべて衆生に廻向すること。最後の廻向の願は今日も東アジアの法要で唱えられ、儀礼のなかに生き続けている。

もうひとつは『法華経』である。その末尾の勧発品で、普賢は六牙の白象に乗って東方から現れ、この経を保つ者を守ると誓い、守護の陀羅尼を説く。日本の普賢信仰は、ほぼこの場面から生まれた。

中国では四川省の峨眉山が普賢の霊場とされ、五台山(文殊)・普陀山(観音菩薩)・九華山(地蔵菩薩)と並ぶ四大名山の一つに数えられる。明代の小説『封神演義』には普賢真人という道教の仙人が登場し、闘いに敗れた仙人の正体が六牙の白象であったためこれを乗物にしたと語られる。物語の末に彼は西方の教えに帰依して普賢菩薩になったとされるが、これは三教一致の風潮のもとで生まれた小説の趣向であって、経典の説くところではない。

図像と象徴

独尊としての普賢は、蓮華座を載せた六牙の白象に結跏趺坐し、合掌する姿で表されるのが最も一般的である。六本の牙は六波羅蜜に配される。この白象を、釈迦の母マーヤーの夢に現れて誕生を告げた白象と同じものとする説もある。

密教では姿が変わる。左手に宝剣を立てた蓮茎を執る形、あるいは金剛薩埵と同じく右手に五鈷杵、左手に五鈷鈴を執る形で表され、如意や経巻を持つ作例もある。三昧耶形は剣と五鈷杵、種子はアン(aṃ)である。二十二臂をそなえた普賢延命菩薩という尊格も立てられ、延命と滅罪を願う修法の本尊となった。

日本の作例では、東京国立博物館の絹本著色普賢菩薩像(国宝、平安時代12世紀)が代表格である。白象の背に静かに坐す菩薩を截金の細線で飾った画面は、この尊格が誰に支持されたかを、そのまま物語る。彫像では大倉集古館の平安後期の木像(国宝)が知られる。観音や弥勒菩薩と違い、普賢が単独で表される例は比較的少なく、多くは釈迦三尊の一員として現れる。

法華経信仰の文脈では、十羅刹女を眷属として伴う図像がある。経のなかで両者がともに持経者を守ると誓っているためで、初期の作例は唐風の装束だが、のちに和装で描かれる例も増えた。

系譜と関係

文殊とは終始一対をなす。中国では文殊を智慧(般若)に、普賢を実践に配し、普賢に「大行」の号を冠する。華厳宗ではこの二尊と毘盧遮那仏をあわせて華厳三聖と呼ぶ。

チベット仏教では事情が入り組む。ニンマ派において「クンツサンポ(普賢)」は、釈迦の八大菩薩の一尊としての普賢菩薩を指すと同時に、一切の根源としての本初仏(アーディ・ブッダ)の名でもある。妃サマンタバドリーと合体する姿で描かれるのは後者であって、菩薩としての普賢とは別の尊格である。同じ名が二つの位格を指すため、図像を見るときには区別がいる。

文化的足跡

日本で普賢が独尊として祀られるようになるのは10世紀頃からで、女性も往生できると説く法華経が支持を集めたことを背景に、極楽往生を願う女性たちの信仰を集めた。四七日の本尊とされ、十三仏の一尊に数えられる。辰年・巳年生まれの守り本尊とする俗信も広まった。

現代の創作作品にも普賢菩薩の名は登場するが、その多くは十二支の守り本尊や『封神演義』の普賢真人を経由した像であり、華厳・法華の経典が説く「行の菩薩」としての性格とは隔たりがある。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q868306 — 骨格データの出典
Commons
Samantabhadra — 図像カテゴリ