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観音菩薩
PLATE — अवलोकितेश्वर
DHARMA · 仏教の尊格
अवलोकितेश्वर

観音菩薩

観世音菩薩 · 觀世音菩薩 · 観自在菩薩

Haa900(ホノルル美術館蔵、北宋・1025年頃、木造) PUBLIC DOMAIN

大乗仏教の菩薩。あらゆる苦の声を聞き取り、相手に応じて姿を変えて救うと説かれ、東アジアで最も広く信仰される尊格となった。インドでは男性、中国で女性像が定着した。

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解説

概要

観音菩薩(かんのんぼさつ/梵 Avalokiteśvara)は、大乗仏教の菩薩である。大慈大悲を本誓とし、東アジアで最も広く礼拝されてきた。観世音菩薩・観自在菩薩・救世菩薩など別名が多い。

名の漢訳は二つに割れている。鳩摩羅什(5世紀)は観世音と訳し、玄奘(7世紀)はそれを誤りとして観自在と訳した。サンスクリットのアヴァローキテーシュヴァラを「観察された+自在者」と解けば観自在になり、中央アジア出土の古い『法華経』写本にあるアヴァローキタスヴァラを「観察された+音」と解けば観世音になる。現存写本では後者が最も古い形であり、両訳は別のテキストを見ていた可能性がある。日本語の「観音」は観世音の略称と解するのが一般的だが、唐の太宗李世民の諱を避けたためとする説も伝わる。

神話・物語

起源に定説はない。インド土着の女神が取り込まれたとする見方、ゾロアスター教の女神アナーヒターとの関係を指摘する見方があるが、いずれも仮説の域を出ない。

信仰の核は物語ではなく誓願である。観音経——『法華経』の観世音菩薩普門品——は、その名を称える者を火からも水からも刃からも救うと説き、救うべき相手に応じて三十三の姿に身を変えて現れる(三十三身)と語る。仏の姿でも、王の姿でも、女の姿でも、童子の姿でも現れる。相手に合わせて自分を変える、という一点がこの尊格の性格を決めている。中国では六朝時代から霊験記が編まれ、実際に救われたという話が積み上げられた。

住処は補陀落(ポータラカ)とされ、『華厳経』入法界品は南インドの海に臨む山とする。浄土教では阿弥陀如来の脇侍として勢至菩薩と並び、臨終の者を迎えに来る役を負う。『般若心経』の冒頭に現れる「観自在菩薩」も同じ尊格である。

中国では12世紀頃から、妙荘王の末娘妙善が出家し成道して観音になったという説話が広まり、『香山宝巻』の成立で定着した。インドの経典にはない、中国で生まれた伝記である。

図像と象徴

同定の鍵は宝冠にある。冠の正面に阿弥陀如来の小さな化仏を戴くのが観音であり、これがなければ別の菩薩である。持物は蓮華と水瓶(軍持)、楊柳の枝。

姿は一定しない。基本の聖観音のほか、十一面・千手千眼・如意輪・馬頭・准胝・不空羂索といった変化観音があり、六道に迷う衆生に六種の観音を配する六観音の組み方も生まれた。千手観音は経典どおり千本の手を彫ることが困難なため、四十二臂で千手を表す例が大半である(葛井寺像のように実際に千本を超える手をもつ例外もある)。中国と日本ではさらに白衣観音・水月観音・楊柳観音など三十三観音が派生し、禅林の水墨画の好画題となった。

性別は最も語られる論点である。梵名は男性名詞であり、ガンダーラの浮彫はほとんどが口髭をたくわえ、竺法護訳(286年)の十七身も、サンスクリット原典の十六身も、すべて男性の姿である。ところが鳩摩羅什訳の三十三身には七つの女性の姿が入る。女性化は中国仏教の側で起きたと考えられている。宋代以降、慈母観音・送子観音として女性像が定着し、明代の徳化窯の白磁が優美な白衣観音を大量に生んだ。近代日本の白い平和観音像の造形は、この白磁の系譜を引く。

本ページの主画像は北宋期(1025年頃)の木造菩薩坐像(ホノルル美術館蔵)で、宝冠の化仏がはっきりと確認できる。

系譜と関係

菩薩に親も子もない。関係は教理上の配置として定まる。阿弥陀如来を本師とし、その脇侍として勢至菩薩と対をなす。偽経『観世音菩薩往生浄土本縁経』は、過去世で早離という少年であり、兄弟の速離がのちの勢至菩薩、父が釈迦であったと語る。

土地の神との重なりが広い。中国では明代に道教へ取り込まれて慈航真人となり(習合)、小説『封神演義』は慈航道人という仙人が後に観音になったとする。海の女神媽祖と重ねる見方も広まった。チベットではチェンレジーと呼ばれ、ダライ・ラマはその化身とされる。ラサのポタラ宮の名は補陀落に由来する。日本ではカンノンと訛り、飛鳥時代から造像が絶えない。江戸期の潜伏キリシタンが子を抱く白衣観音の像をマリアに見立てた「マリア観音」も、この尊格の姿の広がりを示す例である。

文化的足跡

西国三十三所の巡礼、京都・三十三間堂の千手観音一千一躯、法隆寺の百済観音と救世観音、聖林寺の十一面観音——日本の仏教彫刻の最良の部分が、この一尊に集中している。「三十三」の数はすべて観音経の三十三身に発する。

観音は現に信仰されている尊格である。本稿は図像と伝承の解説にとどめ、信仰の当否には立ち入らない。現代の創作にも名が用いられるが、それらは経典の説くところとは別のものである。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
慈航真人 同一視
明代に道教へ取り込まれ慈航真人として神階に入った。小説『封神演義』の慈航道人はこの受容を物語化したもの
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資料

Wikidata
Q193849 — 骨格データの出典
Commons
Avalokiteśvara — 図像カテゴリ