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エイトリ
PLATE — EITRI
NORÐR · 北欧神話
EITRI

エイトリ

シンドリ · エイトリ · Eitri

エルマー・ボイド・スミス画(1902年、A・F・ブラウン『巨人たちの時代』所収) PUBLIC DOMAIN

北欧神話のドヴェルグの鍛冶。弟ブロックが鞴を踏むかたわら炉を扱い、ミョルニル・ドラウプニル・グリンブルスティを生んだ。写本によってシンドリとも呼ばれる。

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解説

概要

エイトリ(Eitri)は、北欧神話に登場するドヴェルグ(ドワーフ)の鍛冶。ブロックの兄弟で、トールの槌ミョルニルオーディンの腕輪ドラウプニルフレイの猪グリンブルスティを鍛えた。

名は写本によって割れる。エイトリ(Eitri)とシンドリ(Sindri)の二形が伝わり、どちらが本来の形かは決着していない。シンドリは古ノルド語 sindr(鍛冶で生じる鉱滓)に連なる語とされ、鍛冶の名としては据わりがよい。日本語では『スノッリのエッダ』の訳を通じて「エイトリ」の名で知られる。

登場する物語

物語はブロックと共有する一つだけである。ロキシヴの髪を刈った償いにドヴェルグへ宝を作らせ、その出来に驕ってブロックと首を賭けた。兄弟が受けて立ち、エイトリが炉を扱い、ブロックが鞴を踏む。

エイトリは炉に豚の皮を投げ入れ、外へ出るとき、何があっても鞴を止めるなと言い置いた。戻って取り出したのが黄金の猪グリンブルスティである。次に黄金を投じ、腕輪ドラウプニルを取り出す。三度目に鉄を投じて取り出したのがミョルニルだった。ただし柄が短い。ロキが虻に化けて鞴を踏むブロックを刺し、一瞬手を止めさせたためである。

三つの品は神々の判定で勝ちを収めたが、この鍛冶自身は表に出てこない。首を請求しに行くのも、ロキの口を縫うのも弟のほうである。エイトリの仕事は炉の内側で完結しており、外での交渉はブロックが引き受けている。

図像と象徴

固有の図像はない。この鍛冶が描かれるのは、常にブロックとの二人組としてである。

本サイトが掲げるのは、エルマー・ボイド・スミスが1902年に描いた一葉である。砧の上で光る槌を挟む鍛冶と、その向かいに屈む相方、背後で見守る神、そして床には猪・船・槍・腕輪が並ぶ。六つの宝が一枚に収められており、この物語が北欧神話の持物カタログとして機能していることが見て取れる。ただしコモンズの説明はこの二人を「イーヴァルディの息子たち」としており、これは誤りである。イーヴァルディの息子たちが作ったのは髪と船と槍であって、槌ではない。

象徴としてこの鍛冶が担うのは、炉と火の側である。鞴が人の持続を、炉が変成を受け持つ。同じ物語の中で作業が二人に分けられているのは、鍛冶という仕事が一人では成り立たないという実務の反映でもある。

関わる神格・伝承

兄弟はブロック。競争相手はイーヴァルディの息子たちで、この二組のドヴェルグの競作によって、北欧の神々の主要な持物がほぼ出そろう。

シンドリという名は、別の文脈にも現れる。『巫女の予言』第37節は、ニザヴェッリル(暗き野)の北に「シンドリの一族の黄金の館」があると歌う。『ギュルヴィたぶらかし』はこれを踏まえて、ラグナロクののちに善き者たちが住まう黄金の館としてシンドリを挙げる。ルドルフ・シメクは、これをキリスト教の天国観の移植とみる。ジョン・リンドウは、シンドリが館の名なのか、館の主である人物の名なのかは決められないと述べる。鍛冶の名と館の名が同じであることが偶然かどうかは、証明されていない。

文化的足跡

この鍛冶は、ミョルニルの作り手として名を残した。北欧神話で最も知られた武器の製作者でありながら、伝わる場面はただ一つである。

現代の翻案では、名がエイトリとシンドリのあいだで揺れ続けている。原典の側がすでに二つの名を持っていた以上、これは翻案の混乱ではなく、写本の状況がそのまま持ち越されたものである。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q3049532 — 骨格データの出典
Commons
Eitri — 図像カテゴリ