イーヴァルディ
イーヴァルジ · イヴァルディ · イーヴァルディの息子たち
北欧神話のドヴェルグ。その息子たちがフレイの船スキーズブラズニル、オーディンの槍グングニル、シヴの黄金の髪を鍛えた。名も人数も伝わらない。
解説
概要
イーヴァルディ(古ノルド語 Ívaldi)は、北欧神話のドヴェルグである。その息子たち——「イーヴァルディの息子たち」(Ívaldasynir)——が、神々の宝を鍛えた工匠として知られる。
彼らが作ったのは、フレイの飛ぶ船スキーズブラズニル、オーディンの槍グングニル、そしてロキが刈り落としたシヴの髪の代わりとなる黄金の髪である。
登場する物語
『詩語法』が語るところはこうである。ロキがシヴの髪を刈り落とし、償いのためにスヴァルトアールヴヘイムへ下って、イーヴァルディの息子たちに三つの宝を作らせた。
その出来に得意になったロキは、ドヴェルグのブロックに、その兄弟エイトリにこれと並ぶものは作れまいと賭けを持ちかけ、自らの首を賭けた。エイトリが鍛えたのはフレイの猪グリンブルスティ、オーディンの腕輪ドラウプニル、そしてトールの槌ミョルニルである。神々はこれらのほうがさらに驚くべきものだと判じ、ブロックが賭けに勝った。
『詩語法』はイーヴァルディの息子たちの名も人数も明かさない。最初に触れられたきり、彼らは物語から姿を消す。『グリームニルの言葉』第43節にも「最良の船」スキーズブラズニルの作り手として一言触れられるだけで、それ以上のことは分からない。彼らが何者であったかは、もっぱら研究者の推測に委ねられている。
エッダ詩『オーディンの大鴉の歌』第6節では、イズンがアールヴ(妖精)とされ、「イーヴァルディの年長の子らのうち最も若い者」と呼ばれる。これはイーヴァルディに二組の子——おそらく母を異にする——があったことを含意する。この読みに従えば、イズンは名高い工匠たちの妹ということになる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。宝の鍛造を描いた近代の挿絵は、たいてい槌ミョルニルを鍛えるエイトリとブロックの側を主題にしている。
象徴として押さえておきたいのは、この一族が「先に作った側」であるという位置である。優れた三つの宝を鍛えながら、賭けにおいては敗れる。北欧神話の工匠譚において、技の優劣は競われるものであり、最初に作った者が最良とは限らない。
関わる神格・伝承
子は「イーヴァルディの息子たち」。イズンをその娘とする読みがある。
古ノルド語の資料は、巨人シャツィをアッルヴァルディ(『ハールバルズの歌』第19節)あるいはエルヴァルディ(『詩語法』第42節)の子とする。イーヴァルディがこの名の別形である可能性が指摘されてきた。シャツィには二人の兄弟イジとガングル、あるいはイジとエギルがいるとされ、この線をたどればガングルはエギルの別名ということになる。エギルはトールの旅の同行者としても現れ、巨人の国へ向かうトールの山羊を預かる役を担った。
文化的足跡
名だけが残り、行為も人数も伝わらない——にもかかわらず、北欧神話における最重要の宝の半分がこの一族の手になる。工匠の名が神々の持物に埋め込まれているという点で、この一族は北欧の神話がどこに価値を置いていたかを示している。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。