13世紀後半のアイスランドで、古い英雄歌謡を散文に編み直した伝説サガ。ヴォルスング一族の興亡を、始祖からシグルズによる竜ファフニール退治、ブリュンヒルドとの悲恋、そしてグズルーンの復讐まで一続きに語る。
素材の多くは『古エッダ』の英雄歌篇にあり、写本で失われた部分(王の写本の欠落丁)の内容を伝える点で資料的価値が高い。ドイツの『ニーベルンゲンの歌』と共通の伝承に遡るが、筋と登場人物の役回りは大きく異なる。
19世紀にウィリアム・モリスが英訳して以降、英語圏に広く知られた。リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指環』は主にこのサガと古エッダに拠り、ドヴェルグの呪われた指輪アンドヴァラナウトが世界を巻き込む筋立てを取り出した。J・R・R・トールキンもこの物語を繰り返し論じ、自ら韻文で書き直している。