バンバ
バンバー · Banba · Banbha
アイルランドの守護女神三姉妹の一人でマク・クルの妻。ミレー族を最初に迎え、名を土地に与えるなら幸福を与えると申し出たが通り過ぎられた。妖精の軍勢を率いる戦の相を持つ。
解説
概要
バンバ(現代語 Banbha)は、アイルランド神話のトゥアハ・デ・ダナーンの女神で、デルバイスとエルンマスの娘である。アイルランドの守護女神の一人にあたる。
神話・物語
ミレー族を迎えた三女神のうち、最初の一人である。他の二人はフォドラとエリウ。バンバはミレー族に、自分の名を土地に付けるなら幸福と富を与えると申し出た。ミレー族はこれを通り過ぎ、のちにフォドラに会い、同じ申し出を受け、最後にエリウに会った。
一部の版では、ミレー族が呪文を歌ってバンバを追い払ったともいう。
シャホーン・ケーティン(17世紀)によれば、バンバはマッハを崇拝していた。ケーティンはまた、バンバが洪水以前にアイルランドに最初に足を踏み入れた者であるという伝えにも触れる。ケサルの伝説の変種である。
『ミールの子らのスペインからアイルランドへの旅』では、ミレー族がアイルランドを進むうち、セナの山——ケリー州コルカ・ドゥイブネのスリーヴ・ミッシュと同定される——で「妖精の魔法の軍勢を率いる勝利のバンバ」に出会ったと語られる。
豚がバンバの象徴とされることがある。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
三姉妹のうち最初にミレー族と会い、最初に通り過ぎられる。順序が、三人の位置を決めている。エリウが最後に会って国名を得たのに対し、バンバは最初に会って忘れられる。
「妖精の魔法の軍勢を率いる」という描写は、この女神が単なる土地の擬人像ではなく、軍勢を率いる戦の相を持つことを示す。母エルンマスの娘たち——バズヴ、マッハ、モリガン——と同じ性格が、ここにも現れている。
系譜と関係
父はデルバイス、母はエルンマス。姉妹はフォドラとエリウ。夫はマク・クル。
文化的足跡
「バンバ」は今日もアイルランドの詩的な呼称として用いられる。フォドラと同じく、国名にはならなかったが文学的な名として残った。
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。三姉妹のうちエリウだけが、アイルランドの語源として紹介される。