パラシュラーマ
ラーマ・ジャーマダグニヤ · 斧を持つラーマ · ブリグ族
ヴィシュヌの第六化身とされる聖仙にして戦士。父の仇として二十一度にわたりクシャトリヤを滅ぼしたと語られている人物。
解説
概要
パラシュラーマ(Paraśurāma / परशुराम)は、ヴィシュヌの第六化身とされる聖仙にして戦士である。名は「斧を持つラーマ」を意味し、シヴァから授かった斧パラシュを執る。父は聖仙ジャマダグニ、母はレーヌカー。驕るクシャトリヤを滅ぼすことをその務めとし、二十一度にわたって地上のクシャトリヤを討ったと語られる。ビーシュマ、ドローナ、カルナの師でもあり、『マハーバーラタ』の武技の系譜はほぼすべて彼に遡る。
神話・物語
若い頃、ヒマーラヤに登ってシヴァに教えを受けた。修行中の身でアスラを討ち、師との試合でその額に傷を負わせたことを喜んだシヴァから、斧パラシュを授かって免許皆伝を得たとされる。
彼を規定するのは父の死である。如意牛を奪おうとしたハイハヤ王カールタヴィーリヤ・アルジュナの千の腕を斧で断ち切って討ったところ、父ジャマダグニは人を殺したことを責めて巡礼を命じた。留守のあいだにカールタヴィーリヤの子らが仇討ちとして父を殺す。帰った彼は嘆く母の姿を見て、母が胸を打った回数である二十一に応じ、二十一度にわたってクシャトリヤを滅ぼしたと語られる。母への殺害命令に従った子が、今度は父の仇を討つために世界の武人階級を絶やすという展開になっている。
二大叙事詩のいずれにも登場する。『ラーマーヤナ』では、ラーマがシヴァの弓を折った音を聞きつけて婚礼の場に乱入し、激して戦いを挑む。だが相手が自分と同じヴィシュヌの化身であると悟ると、非礼を詫びて去った。『マハーバーラタ』ではアンバーの訴えを受け、弟子ビーシュマと二十三日にわたって戦い、決着せずに終わる。カルナには多くの技を授けたが、膝枕で眠るあいだ虫に咬まれても耐えた我慢強さから身分を偽っていたことを見抜き、いざというとき技を思い出せぬという呪いをかけた。この呪いが、のちにカルナの最期を決める。
図像と象徴
斧を執る若い苦行者として描かれ、結い髪と聖紐、弓を伴うことが多い。象徴となるのは斧であり、シヴァから授かった武器でありながら、父の命によって母を斬り、父の仇を討ち、クシャトリヤを滅ぼすという三つの局面で同じ一つの刃が用いられる。
系譜と関係
父はジャマダグニ、母はレーヌカー。ブリグ族に属する。師はシヴァ。弟子にビーシュマ、ドローナ、カルナがあり、ドローナを通じてアルジュナやアシュヴァッターマンにまで技の系譜が及ぶ。不死者の一人に数えられ、カルキに技を伝えるのが最後の務めとされる。
文化的足跡
インド西海岸のコンカンからケーララにかけての地域には、彼が斧を海に投げて土地を生み出したとする創建伝承が広く行われている。パラシュラーマ・ジャヤンティ(生誕祭)は各地で祝われ、とくにこの地域で盛んである。ケーララの古武術カラリパヤットは、地域によって彼を開祖とする伝えをもつ。
なお、彼をヴィシュヌの化身に数えながら、その行いが大量の殺戮であることは、注釈者にとって扱いの難しい点であり続けてきた。天に帰ることを許されず今も地上に留まっているとする伝えは、この矛盾に一つの説明を与えるものと読める。