メンヒト
メンヒュト · メンキト · メンヘト
古代エジプトの雌獅子の戦の女神で、名は「屠る者」の意とされる。上エジプトのエスナでクヌムの妻、ヘカの母とされ、下エジプトのサイスでも祀られた。ヌビア起源とする説がある。日輪とウラエウスを戴き、のちセクメトと同一視された。
解説
概要
メンヒト(Menhit、メンヒュト、メンキトとも)は、古代エジプトで崇拝された雌獅子の戦の女神である。名は「屠る者」あるいは「犠牲を捧げる者」を意味するとされる。上エジプトのエスナと、下エジプトのサイスが祭祀の中心であった。もとはヌビアの女神であったとする説があり、本サイトではヌビアの体系に含めて扱う。
同じく雌獅子の女神であるメヒトとは別の神格である。名も姿も近いため混同されやすいが、資料上は区別される。
神話・物語
日輪とウラエウスを戴く雌獅子の頭の女神として描かれる。『コフィン・テキスト』は、この女神を守護神かつ太陽の神格として結びつける。エジプト軍の先頭に立って進み、火の矢で敵を薙ぎ倒すとも信じられた。王冠を守るウラエウスを表す女神の一柱にも数えられた。
ラーの目が遠く去っては戻る「遠ざかる女神」の神話と結びつける資料もある。ある伝えでは、ラーの目がエジプトから逃れ去り、ラーが神を遣わしてヌビアで探させる。女神はそこで雌獅子に姿を変えていた。ラーのもとへ連れ戻されたとき、彼女はメンヒトになった、あるいはメンヒトを産んだとされる。
信仰
上エジプト第3ノモス、とりわけエスナでは、クヌムの妻でヘカの母とされた。クヌムが大気の神シューに近づけられると、メンヒトはシューの妻テフヌトの位置に置かれた。エスナのクヌム神殿は、天井の天文図とヒエログリフの保存状態で知られる。
下エジプトでは、ウアジェトやネイトと結びつけられた。のちに同じ雌獅子の女神セクメトと同一視された。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、エジプト学の慣行に沿って描かれた現代の線図で、日輪とウラエウスを戴く雌獅子の頭の女神を表す。雌獅子の女神という点では、セクメト、バステト、メヒトと同じ系列に属する。
系譜と関係
エスナではクヌムの妻、ヘカの母。のちセクメトと同一視された。ヌビアの獅子の神格としてはアペデマクがいる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。