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メヒト
PLATE — MḤYT
AEGYPTVS · エジプト神話
MḤYT

メヒト

メヒュト · メキト · メキット

PharaohCrab, CC0 CC0

ヌビアに起源をもつ雌獅子の女神。アンフルの妻であり、彼がヌビアから連れ帰ったと語られる。後代には「遠ざかる女神」の神話に重ねられた。

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解説

概要

メヒト(Mḥyt、メヒュト、メキトとも)は、エジプト神話およびヌビアの雌獅子の女神である。ヌビアに起源をもつ。

アンフル(オヌリス)の配偶神として知られる。祭祀の中心はヒエラコンポリスとティニスにあった。

神話・物語

いくつもの文書が、ある神話をほのめかす。アンフルがヌビアまでこの女神を追跡し、妻としてエジプトへ連れ帰ったというものである。アンフルの名——「遠くにある者を連れ戻す者」——は、この出来事に由来する。

後代の資料は、この物語を「遠ざかる女神」の神話と重ねる。ラーの眼——いくつもの女神の姿をとりうる太陽の神格——が父ラーのもとから逃れ去り、ラーが神の一柱を遣わして連れ戻すという筋である。アンフルとメヒトの版では、アンフルはシューと、メヒトはハトホル=テフヌト——シューの神話上の姉妹にして妻——と習合する。

シューとテフヌトが太陽と月を表すことがあったため、メヒトは満月を表すこともあった。この場合、女神が本来あるべき場所へ帰ることは、月とコスモスの秩序の象徴であるホルスの眼の回復を意味しうる。

ジェラルディン・ピンチは、「遠ざかる女神」がもともとヌビアの荒れた砂漠を人格化したものであり、その神話がラーの眼をめぐる神話群に吸収されたのではないかと述べる。トビー・ウィルキンソンは、初期王朝期にはこの女神が聖なる場所に結びついた守護の女神であった可能性を指摘する。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、エジプト学の慣行に沿って描かれた線図である。

初期王朝期には、背から三本の曲がった棒が突き出た、伏せる雌獅子として描かれた。この時代の封泥や象牙製品にしばしば現れ、多くは上エジプトの祠堂の表現とともに置かれる。何を表す棒なのかは分かっていない。

雌獅子の女神という点ではセクメトバステトと同じ系列に属する。ただしこの女神が特異なのは、その姿ではなく居場所である。エジプトの外——ヌビア——にいる女神として語られ、連れ戻されることによってはじめてエジプトの神格になる。異国と国土の境が、神話の骨格をなしている。

関わる神格・伝承

配偶神はアンフル。習合の系列ではシューとテフヌトの対に重ねられる。

なお、同じく雌獅子の女神メンヒト(Menhit)とは別の神格である。名も姿も近く、いずれもアンフルと結びつけられる文脈があるため混同されやすいが、資料上は区別される。

文化的足跡

日本語圏でメヒトの名が挙げられることはまずない。エジプトの雌獅子の女神といえばセクメトであり、アンフルの妻の名まで書かれる書物は少ない。

それでもこの女神は、エジプトの神話がしばしばとる型を代表している。女神が去り、神が追い、連れ戻す——この筋はハトホル、テフヌト、バステトをめぐる複数の物語に現れ、「遠ざかる女神」の名で一括りに論じられてきた。メヒトの物語は、その最も古い層に属する可能性がある。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q268822 — 骨格データの出典
Commons
Mehit — 図像カテゴリ