スェウ・スァウ・ゲフェス
スェウ · スェウ・スァウ・ゲファス · スレイ・スラウ・ゲフェス
中世ウェールズ『マビノギ四枝』第四枝の英雄。母に名も武器も妻も拒まれ、叔父の詐術でそれを得て、妻の裏切りに鷲となって飛び去った。
解説
概要
スェウ・スァウ・ゲフェス(Lleu Llaw Gyffes、「巧みな手を持つ金髪の者」)は、中世ウェールズのマビノギオン所収『マビノギ四枝』第四枝の英雄である。誕生、命名、婚姻、死、蘇生、そしてグウィネズ王位の継承までが一篇のうちに語られる。武人であると同時に魔術に守られた存在であり、叔父グウィディオンと切り離しては語れない。
名の第一要素スェウはケルト祖語 *Lugus に遡り、アイルランドのルー、ガリアのルグスと同じ語源に発する。ただし物語の内容は互いに大きく異なり、名の系統が一致することと神格の内容が一致することは別の事柄である。プリデリと同じく、母から引き離されて取り戻される「神なる子」マボン・アプ・モドロンの型に連なるとする説もある。
神話・物語
母アリアンロッドが処女の試験で産み落とした二人目の子として、名もないまま櫃のなかで生を受けた。グウィディオンに育てられ、常の倍の速さで育つ。四歳で八歳ほどの背丈になったという。
母は彼に三つのトゥンゲズ(禁忌)を課した。第一に、自分が与えるのでなければ名を持てない。グウィディオンは彼を靴屋に変装させてカエル・アリアンロドへ連れて行き、鷦鷯を石一つで——腱と脚の骨のあいだを——射抜かせた。思わず「金髪の者が巧みな手で射た」と口にした母の言葉が、そのまま名になる。第二に、母が武装させるのでなければ武器を持てない。叔父は吟遊詩人に扮して館に泊まり、翌朝、幻の艦隊が海を埋めているように見せて彼女に武具を出させた。第三に、この世に今ある種族から妻を得られない。マースとグウィディオンは樫と金雀枝とセイヨウナツユキソウの花から女を作り、ブロダイウェズと名づけて彼の妻とした。
その妻がペンスィンの領主グロヌ・ペブルと通じる。二人はスェウの殺害を企て、妻は夫からその方法を聞き出した。彼は昼にも夜にも、屋内でも屋外でも、馬上でも徒歩でも、着衣でも裸身でも、正しく作られた武器によっても殺されない。殺しうるのはただ一つ、黄昏どき、網に包まれ、片足を桶の縁に、片足を山羊の背に置いたところを、一年のあいだ日曜のミサの時間にのみ鍛えた槍で刺したときだけである。
一年後、その姿勢をとらされたスェウは、待ち伏せたグロヌの槍に討たれた。しかし彼は倒れず、鷲となって飛び去る。グウィディオンが豚の跡を追って探し当てたとき、彼は湖のほとりの樫の梢で朽ちかけていた。叔父の歌う三つのエングリンに導かれて枝を降り、人の姿を取り戻し、看護を受けて快復する。復讐の場でグロヌは、あいだに大石を置かせてほしいと乞うた。スェウの投げた槍は石を貫いてグロヌを殺した。アルズイに残る穴のあいた石は、今もスレフ・ロヌ(グロヌの石)と呼ばれる。物語は彼のグウィネズ王位継承で閉じる。
図像と象徴
古代・中世の図像はない。主画像はシャーロット・ゲスト訳『マビノギオン』(1877年)の木口木版で、槍に討たれて鷲に変じたスェウが樫の上へ飛び去る場面を描く。
物語が与える標識は、鷲と樫、そして槍である。殺されうる唯一の条件として並べられた「昼でも夜でもなく、屋内でも屋外でもなく」という言い回しは、境界のどちらにも属さない一点を作り出す論理であり、ケルト語圏の禁忌譚に広く見られる型である。片足を桶に、片足を山羊にという姿勢もまた、地に立ってもおらず宙に浮いてもいない状態を作る。彼を殺すには世界の隙間を用意しなければならない。鷲となって死を免れる結末は、その条件が完全には満たされなかったことを示している。
系譜と関係
母はアリアンロッド、兄はディラン・アイル・ドン。育ての親であり後見人はグウィディオンで、第四枝は父を明示しない。10世紀の「ハーレイ系譜」がスェウをグウィディオンの子とすることから、より古い形では叔父が父であったとする説がある。妻はブロダイウェズ、その情人にして仇はグロヌ・ペブル。
ルーとの関係は同源であって同一視ではない。ジョン・リース以来、両者の名がケルト祖語 *Lugus に遡ることは広く認められているが、アイルランドのルーが多芸の王として描かれるのに対し、スェウは終始、守られる側の存在である。ガリアのルグスを含めた三者の関係は言語の系統として扱い、物語の対応をそこに読み込まないのが慎重な扱いである。
文化的足跡
『タリエシンの書』はスェウの名を何度か挙げ、木々の戦い(カド・ゴゼイ)でグウィディオンとともに戦ったと伝える。近代ではしばしば「スレイ」の綴りで紹介され、ジェイムズ・フレイザー以来の比較神話学が、彼の死と蘇生を植生の循環と結びつけて論じた。ただし第四枝そのものは季節を語らない。アラン・ガーナーの小説『ふくろう模様の皿』(1967年)は、スェウ、ブロダイウェズ、グロヌの三角関係が現代のウェールズの谷で世代ごとに繰り返されるという設定で、この物語を今日に接続した最もよく知られた例である。