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ジャムシード
PLATE — جمشید
PERSIA · ペルシア神話
جمشید

ジャムシード

ジャム · ジャムシェード · イマ

『シャー・ナーメ』シャー・タフマースブ本(タブリーズ、1525–30年頃) PUBLIC DOMAIN

イランの伝承に語られるピーシュダード朝の王。人に技術と暦を与えて黄金時代を築いたが、驕って神授の光輝を失い、ザッハークに討たれた。アヴェスターのイマに遡る。

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解説

概要

ジャムシード(ペルシア語 جمشید)は、イランの伝承に語られる王である。『シャー・ナーメ』ではタフムーラスの子、ピーシュダード朝の第四代の王とされ、その原型はアヴェスターのイマ・フシャエータ(「輝けるイマ」)に遡る。名はイマとフシャエータ(輝く)の合成で、規則的な音変化を経て中期ペルシア語のジャム、新ペルシア語のジャムシードとなった。

イマはサンスクリットのヤマと同源で、いずれも「双子」と解される。父の名ウィーワンハントも、ヴェーダの太陽神の別名ヴィヴァスヴァットに対応する。インドのヤマが死者の王となったのに対し、イランのイマは地上の王となった。同じ神話素が二つの方向へ展開した例としてしばしば引かれる。

神話・物語

『ウェンディーダード』第2章が伝えるイマは、まずアフラ・マズダーから法を託されるが、これを断る。代わりに与えられたのは、大地を治め、生きるものを栄えさせよという務めであった。黄金の印と黄金を象嵌した短剣を授かって、彼は三百年を治める。人と家畜と鳥が地に満ちると、彼は南へ向かって印を大地に押し当て、スプンタ・アールマティに呼びかけて地を押し広げてもらう。同じことが六百年後、さらに九百年後にも繰りかえされた。

やがてアフラ・マズダーは、山の頂に厚く雪を積もらせる激しい冬の到来を告げ、ワラ(囲い)を築くよう命じる。二マイル四方の多層の地下の囲いに、もっとも優れた男女と、あらゆる動物・鳥・植物の種を二つずつ収め、前の夏に集めた水と食糧を備えよという。イマは足で大地を踏み砕き、陶工が粘土をこねるようにこれを形づくった。街路と建物を設け、人工の光を灯し、最後に黄金の環で囲いを閉じる。ノルベルト・エッティンガーは、この厳冬をもとは洪水とみて、原型は洪水神話であったと論じている。北欧の原初の巨人ユミルが同じ語根に連なり、その死が大洪水を招いたと語られることも、この議論の材料とされる。

『シャー・ナーメ』のジャムシードは、文明そのものを人に与えた王である。武具と兵器の製作、亜麻と絹と羊毛の織りと染め、煉瓦の家、宝石と貴金属の採掘、香料、酒、医術、船による航海——そのいずれもが彼に帰される。人を祭司・戦士・農民・工匠の四つに分けたのも彼だとされる。神授の光輝フワルナフを帯びた彼が、宝石をちりばめた玉座を魔たちに担がせて空を飛んだ日が、ノウルーズの起こりとされた。七つの輪をもつ杯ジャーム・エ・ジャムを覗けば、世界のすべてが見えたともいう。

だが権力とともに驕りが育つ。彼は、この繁栄がことごとく自分ひとりに発すると民に告げ、創造主のごとく崇められることを求めた。その時から光輝は彼を離れる。悔いても戻らなかった。アラブの王ザッハークアンラ・マンユにそそのかされて攻め入ると、不満を抱いた民の多くが迎え入れた。ジャムシードは世界の半ばまで逃れたが捕らえられ、鋸で二つに断たれて殺される。七百年の治世ののち、人は文明の高みから暗黒時代へ落ちた。

図像と象徴

写本挿絵に繰りかえし選ばれた場面は二つある。玉座に坐して技を人に教える宮廷の場面と、鋸で断たれる最期の場面である。本サイトが主画像に掲げるのは、サファヴィー朝のシャー・タフマースブ本『シャー・ナーメ』の一葉「ジャムシードの宮廷」(タブリーズ、1525–30年頃)で、王を頂点に、鍛冶・織り・建築に従う人々を段状に配し、文明の始まりを一枚の画面に収めている。

呼び名にも図像に近い働きがあった。ペルセポリスの遺跡は17世紀に至るまでタフテ・ジャムシード(ジャムシードの玉座)と呼ばれ、近くの岩窟墓はナクシェ・ロスタム(ロスタムの像)と呼ばれた。いずれもアケメネス朝とサーサーン朝の遺構であって伝承の人物とは関わりがないが、遺跡に神話の名を与える営みが、王の記憶を土地に結びつけていた。

系譜と関係

父はウィーワンハント(ペルシア語でウィーヴァンガハーン)。二人の娘はザッハークに奪われ、のちにフェリドゥーンがザッハークを倒して彼女たちを救い出す。フェリドゥーンはジャムシードの血を引く者とされ、断ち切られた正統がこの英雄によって回復される筋になっている。

文化的足跡

ジャーム・エ・ジャムはペルシア詩の常套の像となり、ハーフィズやウマル・ハイヤームが繰りかえし詠んだ。インドのゾロアスター教徒の暦では、ファルワルディーン月の第1日を今日もジャムシェーデ・ノウルーズと呼ぶ。葡萄酒の発見をこの王の宮廷に置く後代の説話もあり、酒と暦と文明の記憶が、この王の名のもとに集まっている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ユミル 北欧神話 同源
印欧祖語 *yem-「双子」に遡る同源とする説(N. エッティンガーほか)。イマのワラ伝承を洪水神話の変形とみる議論と結びつけて論じられるが、機能上の対応は限定的で、同源関係の主張は語源に基づく。
ヤマ ヒンドゥー神話 同源
『アヴェスター』の聖王イマ(近世ペルシア語でジャムシード)。名(Yama/Yima)も父の名(ヴィヴァスヴァット/ヴィーヴァンフワント)も対応する、インド・イラン共通期に遡る同源。
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資料

Wikidata
Q155755 — 骨格データの出典
Commons
Jamshid — 図像カテゴリ