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フェリドゥーン
PLATE — فریدون
PERSIA · ペルシア神話
فریدون

フェリドゥーン

ファリードゥーン · フレードーン · スラエータオナ

Attributed to Sultan Muhammad, Shahnama of Shah Tahmasp (c.1525) PUBLIC DOMAIN

イラン神話の英雄王。暴君ザッハークを牛頭の棍棒で倒し、千年の圧政を終わらせた。アヴェスターでは邪竜アジ・ダハーカを討つ英雄スラエータオナとして現れる。

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解説

概要

フェリドゥーン(فریدون Farīdūn)は、イランの伝承に語られる英雄王である。暴君ザッハークを倒して千年の圧政を終わらせ、のちに世界を三人の息子に分けた王として、フェルドウスィーの叙事詩シャー・ナーメに描かれる。その原型はアヴェスターの英雄スラエータオナ(Θraētaona)で、邪竜アジ・ダハーカを討った者として讃えられる。中期ペルシア語ではフレードーンという。

神話・物語

アヴェスターのスラエータオナは、アースウィヤ家の子である。三つの口と三つの頭をもつ邪竜アジ・ダハーカを討ち、竜に奪われていた二人の女アルナワーズとサヴァンハヴァーチーを解放した。ヴェーダで竜アヒを討つトリタ・アープティヤと、名も筋書きも対応しており、印欧語族に広く分布する竜退治の型の一例とされる。また病を退ける呪文にもその名が呼ばれ、治癒の力と結びつけられた。

『シャー・ナーメ』はこの骨格に肉づけを加える。ザッハークは自らを倒す若者の夢を見てフェリドゥーンを探させ、父アーブティーンを殺す。母ファラーナクは、乳を与える牝牛バルマーイェごと子を隠して山中へ逃れた。成長したフェリドゥーンは復讐を期して時を待つ。

蜂起の火をつけたのは、子を蛇の餌に奪われつづけた鍛冶屋カーヴェである。革の前掛けを竿に掲げて王城の前に立ったカーヴェのもとに民が集まり、フェリドゥーンがこれを率いた。彼は牝牛の頭をかたどった棍棒を鍛えさせてザッハークを打ち据えたが、とどめを刺そうとしたとき天使スラオシャに止められ、暴君は殺されずダマーヴァンド山に鎖でつながれた。

晩年、フェリドゥーンは世界を三人の息子に分ける。長子サルムに西方、次子トゥールに東方トゥーラーン、末子イーラジにイランを与えたところ、兄二人が弟を妬んで殺した。イランとトゥーラーンの果てしない戦いはこの兄弟殺しに始まると『シャー・ナーメ』は語る。竜を倒した王が、その手で次の災いの種を蒔いたことになる。

図像と象徴

フェリドゥーンを見分ける道具立ては牛頭の棍棒(ゴルゼ・ガーヴサール)である。乳を与えた牝牛バルマーイェにちなむ武器で、細密画では鎖につながれる直前のザッハークに振り下ろされる場面が繰りかえし描かれた。本サイトが掲げるのは、サファヴィー朝のシャー・タフマースブ本『シャー・ナーメ』の一葉で、スルターン・ムハンマドの作とされる。

もう一つの象徴は、カーヴェの革の前掛けから生まれた王旗ダラフシェ・カーヴィヤーニーである。宝玉で飾られた軍旗としてサーサーン朝の伝承に受け継がれ、圧政に抗する民の旗として近代イランでも繰りかえし引かれた。三人の息子に世界を分ける場面、末子イーラジの首を見せられて嘆く老王の場面も、写本挿絵の定番の主題である。

系譜と関係

父アーブティーンはジャムシードの血筋に連なるとされ、フェリドゥーンの即位は絶えた王統の回復として語られる。妻はザッハークのもとから救い出されたジャムシードの二人の娘で、その間に生まれたのがサルム・トゥール・イーラジである。イーラジの血を引くマヌーチェフルが王位を継ぎ、以後の英雄譚へと物語がつながる。討つ相手であるザッハーク、育ての牝牛バルマーイェ、旗の由来となったカーヴェは、いずれもこの王の物語と切り離せない。

文化的足跡

秋の収穫祭メフレガーンは、フェリドゥーンがザッハークを倒した日を記念するものだとも語られてきた。竜を倒す王という主題は写本挿絵・タイル・カフヴェハーネの絵画に受け継がれ、名は現代イランの人名としてもよく用いられる。日本では『シャー・ナーメ』の翻訳やその翻案を通じて知られている。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q1150281 — 骨格データの出典
Commons
Fereydun — 図像カテゴリ