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イーオー
PLATE — ἸΏ
HELLAS · ギリシア神話
ἸΏ

イーオー

イオ · イーオ · ポローニス

Marie-Lan Nguyen PUBLIC DOMAIN

アルゴスの王女でヘーラーの巫女。ゼウスに愛され牝牛に変えられて放浪し、エジプトで人に戻った。ペルセウスやヘーラクレースら英雄たちの祖にあたる。

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解説

概要

イーオー(Ἰώ / Io)は、アルゴスの河神イーナコスの娘で、ヘーラーの神殿に仕える巫女であった。ゼウスに見初められたために牝牛の姿へ変えられ、虻に追われて地の果てまで放浪する。ギリシア神話でもとりわけ長い流浪の物語をもつ女性である。

彼女の重要性は苦難そのものよりも、その先にある。エジプトで人の姿を取り戻して生んだ子から、ペルセウスヘーラクレース、カドモス、ミーノースダナオスといった系譜が枝分かれする。ギリシアの英雄の多くが、この一人の流浪の女に血をたどる。

神話・物語

ゼウスは彼女に近づくために大地を闇で覆った。妻の目を逃れるため、あるいは露見してから、イーオーは白い牝牛に変えられる。変えたのはゼウス自身とも、ヘーラーとも伝えられる。ヘーラーは贈り物としてその牝牛をねだり取り、断る口実のないゼウスは渡すほかなかった。

見張りに立てられたのが、全身に眼をもつアルゴスである。牝牛はヘーラー聖域のオリーヴの木に繋がれた。ゼウスの命を受けたヘルメースは、葦笛と長話ですべての眼を眠らせ、この番人を殺す。ヘーラーは百の眼を孔雀の尾に移し、そして虻を放った。

刺され続けるイーオーは休むことができない。北へ東へと大地をさまよい、コーカサスの岩に縛られたプロメーテウスに出会う。アイスキュロス『縛られたプロメーテウス』では、この場面で先の見えない放浪に予言が与えられる。おまえはやがて人の姿を取り戻し、最も偉大な英雄の祖となる、と。牛が渡った海峡はボスポロス(「牛の渡り」)と呼ばれ、通った海はイオニア海と呼ばれるようになった。

エジプトに至って、ゼウスの手が触れると彼女は人へ返る。生まれた子エパポスの名は「触れること」に由来する。イーオーはのちにエジプト王テーレゴノスと結ばれた。孫のダナオスが五十人の娘たちを連れてギリシアへ戻る筋書きは、アイスキュロス『救いを求める女たち』の主題となっている。

図像と象徴

古代の作例は、ほぼすべてアルゴスの殺害の場面である。イーオーは牝牛そのものとして描かれ、ヘルメースと番人のあいだに立つ。前5世紀初頭のアッティカ赤絵ストムノス(ウィーン美術史美術館)はその典型で、彼女は物語の中心にありながら画面では受け身の存在にとどまる。

ヘレニズム期以降、表現が変わる。人間の女の姿に牛の角だけを添えるという折衷の型が現れ、ローマ期の壁画に受け継がれた。ポンペイ出土の壁画(ナポリ国立考古学博物館)は、角を生やして座るイーオーと、傍らで見張るアルゴスを描く。獣に変えられた者の苦しみを、人の表情で見せるための工夫である。

同じ壁画群には、エジプトに着いたイーオーをナイルの神が迎える場面もある。角のある女は、そのままエジプトの女神の図像と重なった。

系譜と関係

父はイーナコス、母はオーケアノスの娘メリアーとするのが通例だが、『女たちのカタログ』とアクーシラーオスは父をペイレーンとし、パウサニアスはイーアソスの娘とする別のイーオーを伝える。息子エパポスと娘ケロエッサを生み、エパポスの血筋からリビュエー、ベーロス、ダナオス、アイギュプトスへと続く。ダナオスの子孫がダナエー、そしてペルセウスである。

ギリシア人はエジプトで彼女をイシスと重ねた。牝牛あるいは角をもつ女という図像が、イシスやハトホルの姿と一致したためである。エパポスは聖牛アピスに、夫テーレゴノスはオシリスに当てられた。インテルプレタティオ・グラエカの一例だが、対応は図像の類似から後づけされたもので、両者の信仰が同じ起源をもつわけではない。

文化的足跡

ボスポロス海峡とイオニア海は、いずれもこの物語に名の由来を求める語源譚をもつ。実際の語源とは別に、ギリシア人が自らの地理をどう物語に結びつけたかを示す例である。

アイスキュロスの二作を通じて、イーオーは古典期の劇場で繰り返し語られた。近世以降はコレッジョの《ユピテルとイオ》(1530年頃)に代表されるように、雲の姿のゼウスに抱かれる場面が絵画の主題となる。1614年、シモン・マリウスは木星の衛星の一つにこの名を与えた。ゼウスの愛人たちの名を並べた四つの衛星のうち、最も内側で潮汐に灼かれ続ける星が、休むことのできなかった女の名を負っている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
イシス エジプト神話 同一視
ヘレニズム期以降のギリシア人は、牝牛あるいは角をもつ女という図像の一致からイーオーをイシスと重ねた。子エパポスは聖牛アピスに当てられる。図像の類似に基づく後代の interpretatio graeca であり、信仰の起源を共有するものではない

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イーアソス
Peirasus
イーナコス
CREATURE
ἌΡΓΟΣ ΠΑΝΌΠΤΗΣ
アルゴス
兄弟姉妹
ἸΏ
イーオー
ギリシア神話
Telegonus
配偶者
イーアソス
Peirasus
イーナコス
ἸΏ
イーオー
ギリシア神話
Telegonus
配偶者
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資料

Wikidata
Q179014 — 骨格データの出典
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Io (mythology) — 図像カテゴリ