イーナコス
イナコス · イーナコス · Inachus
アルゴスの最初の王にして河神。ヘーラーとポセイドーンのアルゴス領有争いでヘーラーに与えたため、怒ったポセイドーンに川を涸らされた。娘イーオーはゼウスに愛され牝牛に変えられた。アルゴス王家の祖。
解説
概要
ギリシア神話において、イーナコス(Inachus)はアルゴスの最初の王であった。オーケアノスとテーテュースの三千の子の一人である。ペロポネーソス東部の川イーナコス川は、この名を負う。
系譜
古代の複数の著者は、イーナコスをティーターンのオーケアノスとテーテュースから生まれた河神の一人と記し、それゆえギリシア人にとっては前オリュンポス的あるいは「ペラスゴイ的」な神話的景観の一部であった。
娘はイーオー、子はポローネウス、アイギアレウスである。
神話・物語
アルゴスの争い。 ヘーラーとポセイドーンがアルゴスの領有を争ったとき、イーナコスと他の河神が裁定者となり、ヘーラーに与えた。
怒ったポセイドーンは、アルゴスの川を涸らした。以後、イーナコス川は夏に水を失う。実際にこの川が夏に涸れることが、伝説の根拠である。
裁定者が罰を受けるという構造である。
イーオー。 娘イーオーがゼウスに愛され、ヘーラーの嫉妬によって牝牛に変えられた。イーナコスは娘を探し求めたが見つけられなかった。
アイスキュロス『縛られたプロメーテウス』において、牝牛となったイーオーは自らの境遇を語る。
アルゴスの王統
イーナコスはアルゴス王家の始祖であり、その系譜からダナオス、ペルセウス、ヘーラクレースが出る。「イーナコスの裔」はアルゴス人を指す表現として用いられた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ヴィクトル・ヤンセンス《父に認められるイーオー》である。
河神でありながら王とされる点が、この神格を規定する。土地の川が、その土地の最初の王でもある。ギリシアの都市が、自らの起源を河神に遡らせる型である。
関わる神格・伝承
父はオーケアノス、母はテーテュース。娘はイーオー、子はポローネウス。アルゴス王家の祖。
文化的足跡
イーナコス川は今日もアルゴリス地方を流れ、夏に水量が著しく減じる。古代の伝説が、実際の水文を説明していることになる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。