アンバーリカー
アムバーリカー(Wikidata ja表記) · カーシヤの三女 · パーンドゥの母
カーシー国の王女でヴィチトラヴィーリヤの妃。ニヨーガの場でヴィヤーサを前に青ざめたため、色白のパーンドゥを産んだとされる。
解説
概要
アンバーリカー(Ambālikā / अम्बालिका)は『マハーバーラタ』に登場する女性で、カーシー国王カーシヤの三女、クル王ヴィチトラヴィーリヤの妃である。パーンドゥの母、パーンダヴァ五兄弟の祖母にあたる。ニヨーガの場で聖仙ヴィヤーサを前に青ざめたために、色白の子を産んだとされる。姉アンビカーが目を閉じて盲目の子を産んだのと対をなす。
神話・物語
姉アンバー、姉アンビカーとともに、婿選びの場からビーシュマによって連れ去られ、異母弟ヴィチトラヴィーリヤの妃とされた。長姉は婚姻を退けたが、彼女と次姉は王に嫁ぐ。王は跡継ぎを残さず病没した。
継母サティヤヴァティーの求めにより、婚前の子である聖仙ヴィヤーサが招かれる。姉が目を閉じて盲目の子を産んだのち、次に迎えたのが彼女であった。苦行に荒れた聖仙の姿を見て真っ青になったため、生まれた子は蒼白い肌をしていたという。パーンドゥの名は「蒼白い者」を意味し、母の恐れがそのまま子の名となった。
彼女の子パーンドゥは、兄が盲目であったために王位を継ぐ。しかし狩で聖仙を射殺した呪いにより女性に触れられぬ身となり、五人の子はいずれも妃たちが神々を招いて得たものであった。彼女の系統がパーンダヴァであり、姉の系統がカウラヴァである。両陣営の祖母が姉妹であるという事実が、この戦いを同族争いたらしめている。
図像と象徴
固有の像容は伝わっておらず、独立した礼拝像の伝統もない。図像に現れるとすれば、ニヨーガの場面である。象徴となるのは青ざめた顔色であり、それが子の肌の色となり、さらに子の名となる。目を閉じた姉、青ざめた妹、恐れなかった侍女——三つの反応がそれぞれ盲目、蒼白、賢明という子の性質を決めるという構成のなかに置かれている。
系譜と関係
父はカーシー国王カーシヤ、母はカウサリヤー。姉にアンバーとアンビカー。夫はヴィチトラヴィーリヤ。ニヨーガによる子がパーンドゥで、その妃クンティーとマードリーが神々を招いて産んだ五人がパーンダヴァである。姉の子ドリタラーシュトラの系統がカウラヴァにあたる。
文化的足跡
パーンドゥの死ののち、彼女は姑サティヤヴァティー、姉アンビカーとともに森へ入り、余生を苦行のうちに過ごしたと語られる。
姉妹二人の物語は、いかにも短い。連れ去られ、嫁がされ、寡婦となり、見知らぬ聖仙を迎えることを求められる。叙事詩は彼女たちの言葉をほとんど記さず、身体の反応だけを記録した。近現代の再話がこの二人を取り上げるのは、まさにその沈黙のためである。語られなかった側から物語を語り直す試みのなかで、彼女たちはしばしば出発点に置かれてきた。