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ズメイ・ゴルィヌィチ
PLATE — ЗМЕЙ ГОРЫНЫЧ
SLAVI · スラヴ神話
ЗМЕЙ ГОРЫНЫЧ

ズメイ・ゴルィヌィチ

ズメイ・ゴルイニチ · ズメイ · ツモク

Ivan Bilibin PUBLIC DOMAIN

ロシアの昔話と叙事詩に現れる多頭の竜。頭の数はたいてい三の倍数で、火を体に蔵し、火の川に架かる橋を守る。女をさらう者として英雄と戦う。

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解説

概要

ズメイ・ゴルィヌィチ(Змей Горы́ныч / Zmey Gorynych)は、ロシアの昔話とブィリーナに現れる竜である。スラヴ諸語には同系の語が広く分布し、ポーランドではスモク、ベラルーシではツモク、セルビアではズマイと呼ばれる。

「ゴルィヌィチ」という父称めいた添え名の由来には二説ある。一つは「燃える」を意味する語根から——セルビアの「火のズマイ」と重なる。もう一つは「山」からで、ブルガリア語では「山」と「森」が同じ語であることを根拠とする。実際、彼は山に棲むと語られることが多い。

登場する物語

住み処は山であり、多くの場合そのそばに火の川スモロジナが流れている。そこに架かるカリノフ橋を彼は守る。この橋は死者の国への渡り口であり、英雄がここで竜と斬り結ぶ場面が、ロシアの物語のなかで繰り返される。

叙事詩ではドブルィニャ・ニキーティチが相手である。彼は大公の姪ザバーヴァをさらった竜を追い、三日三晩戦って倒す。昔話では相手はイワン王子であったり、「イワン——百姓の子」であったりする。竜が女をさらうという筋は例外なく現れ、コシチェイの配下として登場する話もある。

図像と象徴

多頭であることが、この竜の欠かせない条件である。頭の数はたいてい三の倍数で、三、六、九、十二。五や七のこともあるが、最も多いのは三頭である。

それ以外の特徴は、意外なほど語られない。飛ぶことはほぼ必ず言及されるのに、翼については沈黙している——ロシア民話集の全編を通じて「火の翼」の語が現れるのは一話だけである。胴体の描写もない。長い矢じり形の尾と鉤爪のある脚は、昔話の本文ではなくルボークの絵が加えた細部である。

火は体のなかにある。攻めかかるときにそれを吐く。どのように吐くのかを昔話は説明しない。同時に彼は水とも結びついており、海の岩の上で眠るとも、山に棲みながら英雄が近づくと水から現れるとも語られる。火と水は排他的ではない。

本ページに掲げたのは、イヴァン・ビリービンが1941年に描いた、ドブルィニャがザバーヴァを救う場面の図版である。

関わる伝承

竜退治は世界に広く分布する型であり、国際的な昔話分類ではATU分類300番に当たる。ギリシアのテューポーン、北欧のファフニール、そしてゲオルギオス伝説の竜——形は似ている。ただし似ていることと起源が同じであることは別である。

ズメイ・ゴルィヌィチに固有なのは、頭の数と、境界を守るという位置づけである。彼は宝を守るのでも土地を荒らすのでもなく、生者の世界と死者の国とを分ける橋の上に立つ。倒すべき障害というより、越えるべき境そのものに近い。

この竜を草原から襲来した遊牧民、とりわけポロヴェツ人の記憶が凝った像と見る説もある。ロシアの叙事詩が形をなした時代と、草原からの脅威が最も大きかった時代とが重なるためである。

文化的足跡

ヴァスネツォフとビリービンの絵が、三つ首の竜という姿を近代ロシアの国民的な図像にした。ソ連期の児童向けアニメと絵本がそれを引き継ぎ、やがて竜は恐ろしさより愛嬌のほうを強めていく——2000年代以降のロシアのアニメ映画では、三つの頭がそれぞれ別の性格をもって言い争う喜劇の役どころが定番になった。リペツク州の公園には巨大なズメイ・ゴルィヌィチ像が立ち、火を噴く仕掛けで観光名所になっている。ソ連の地雷処理システムUR-77が「ゴルィヌィチ」と呼ばれてきたのも、この竜の名がロシア語のなかでどれほど身近かを示している。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q48809059 — 骨格データの出典