コシチェイ
カシチェイ · 不死身のコシチェイ · Кощей Бессмертный
ロシアの昔話に現れる不死身の魔法使い。死を体の外に隠しており、島の樫の下の櫃、兎、鴨、卵、そして針の先へと入れ子に収められている。花嫁をさらう者として物語の敵役をつとめる。
解説
概要
コシチェイ(Коще́й / Koschei)は、東スラヴの昔話に現れる魔法使いであり、「不死身の」という異名で呼ばれる。スラヴ神話の物語のなかで、最も一貫した敵役である。
ただし不死身ではない。彼には死があり、それが体の外に隠されているというだけである。この一点が、この人物を世界の昔話のなかでも際立たせている。
名の由来には争いがある。ダーリは「害をなす」を意味する動詞から説き、ファスマーは「骨」に遡る語と見た——痩せ細った人を指す普通名詞「コシチェイ」が今も残っている。一方、古ロシア語には「捕虜、奴隷」を意味する別のコシチェイがあり、こちらはテュルク語からの借用である。『イーゴリ軍記』でイーゴリが「コシチェイの鞍」に座らされるのはこの語だが、シャンスキーの語源辞典は、この語と不死身のコシチェイとは語源的に無関係だとする。12世紀ノヴゴロドの白樺文書には、人名としてのコシチェイが現れる。
登場する物語
筋書きの中心は花嫁の略奪である。彼は主人公の妻や母をさらい、地下の国か遠い城に囚える。主人公はその後を追い、しばしばバーバ・ヤーガから助言を得て——彼女は敵であることも味方であることもある——死の在り処を突きとめる。
その死の在り処が、この物語の眼目である。定型の唱えごとはこうなっている。海の上、大洋の上、ブヤン島という島がある。その島に樫が立つ。樫の下に櫃が埋まっている。櫃のなかに兎がいる。兎のなかに鴨がいる。鴨のなかに卵がある。卵のなかに針がある。その針の先に、コシチェイの死がある。針を折れば、彼は死ぬ。
彼は圧倒的に強いが、渇きには弱い。三百年鎖につながれていたコシチェイは、イワン王子の運んだ水を三桶飲んで十二本の鎖を引きちぎった、と「マリヤ・モレヴナ」は語る。魔法使いとしての力も大きい。国をまるごと石に変え、人を胡桃に変え、王女に蛙の皮を着せる——「蛙の王女」で王女が蛙にされていたのは、彼の求婚を断ったからである。自身は鴉に姿を変えることを好む。
倒し方も普通の敵とは違う。剣で斬っても済まない。針を探し当てるか、あるいは「マリヤ・モレヴナ」のように、魔法の馬に蹴らせて仕留めるほかない。
図像と象徴
昔話は彼の姿をほとんど描写しない。背の高い痩せた老人という像を定めたのは、火の鳥と同じくイヴァン・ビリービンである。本ページに掲げたのは、1901年の「マリヤ・モレヴナ」のための挿絵であり、以後のコシチェイ像はほぼこの絵から派生している。プーシキンが『ルスランとリュドミラ』の序詞に書きつけた「かしこにコシチェイ王が黄金の上で痩せさらばえる」という一行は、この人物に守銭奴の顔を加えた。
象徴の焦点は、死が体の外にあるという一点である。人が死を体の内に持つのに対し、彼はそれを取り出し、幾重にも包んで遠くへ置いた。だからこそ、彼を殺すには彼に触れる必要がない。フレイザーは『金枝篇』のなかで、この「外部の魂」という発想を世界各地から集めている。
関わる伝承
昔話のなかで、コシチェイはしばしば多頭の竜ズメイ・ゴルィヌィチを配下として使う。バーバ・ヤーガとの関係は物語ごとに揺れ、彼女が助言者となる話もあれば、共謀者となる話もある。
イワノフとトポロフをはじめとする研究者は、彼をもともと死者の国の主であった存在——ギリシアのハーデースに当たる位置——と見てきた。チェコの昔話「銅の髭」やポーランドの「五匹の羊」には「銅髭のコシチェイ」が現れ、そこでは端的に地下の国の王とされ、水中から現れる。ただしこれらはいずれも近代に採録された昔話であり、異教時代の神格として立証されているわけではない。
文化的足跡
コシチェイを世界に知らしめたのは音楽と舞台である。リムスキー=コルサコフの歌劇《不死身のコシチェイ》(1902年)は、この人物を老いた冬の王として描いた。ストラヴィンスキーの《火の鳥》(1910年)では、イワン王子が火の鳥の助けを借りて彼の卵を砕く——バレエの終盤で舞台が明るく開けるのは、この瞬間である。ソ連映画『不死身のコシチェイ』(1944年)が戦時下に公開されたとき、その敵役は明らかに同時代の侵略者と重ねられていた。今日ゲームや小説に現れる「魂を器に隠した不死者」という造形の多くは、この昔話に系譜をたどることができる。