ウルヴァシー
ウルバシー · ナーラーヤナの腿より生じた者
アプサラスのなかで最も名高い天女。人間の王プルーラヴァスとの恋と別離で知られ、アルジュナを呪って一年の変身を強いている。
解説
概要
ウルヴァシー(Urvaśī / उर्वशी)は、アプサラスのなかで最も名高い天女である。インドラの天界で舞う者の筆頭とされ、聖仙ナラとナーラーヤナの腿から生まれたと語られる。人間の王プルーラヴァスとの恋と別離は『リグ・ヴェーダ』にまで遡る古い主題で、後世カーリダーサの戯曲『ヴィクラモールヴァシーヤ』に結実した。アルジュナを呪って一年のあいだ男でも女でもない身とした説話でも知られる。
神話・物語
出生には二説がある。聖仙ナラとナーラーヤナが苦行を積んでいたとき、インドラが行を妨げようとアプサラスを遣わした。これを退けたナーラーヤナが自らの腿(ウル)から遥かに美しい天女を生み出し、その名をウルヴァシーとしたという。乳海攪拌の折に海から現れたとする伝えもある。
『リグ・ヴェーダ』10.95は、彼女と月種の王プルーラヴァスの対話という形をとる。二人は条件つきで暮らしを共にした。彼女が飼う二頭の羊を守ること、そして彼女の前で裸身を見せぬこと。ガンダルヴァたちが羊を奪ったため、慌てて追った王が稲妻に照らされて裸身を見られ、条件は破れる。彼女は去り、王は各地をさまよって嘆いた。『シャタパタ・ブラーフマナ』はこの続きを語り、王が祭火を用いてガンダルヴァの身分を得、彼女と再び結ばれたとする。カーリダーサの戯曲は同じ主題を宮廷劇として仕立て直した。
『マハーバーラタ』では、天界を訪れたアルジュナに彼女が思いを寄せる。だがアルジュナは、彼女がかつて祖先プルーラヴァスの妻であったことから母のごとき人と呼んで退けた。侮辱と受け取った彼女は、一年のあいだ男でも女でもない身となれと呪う。インドラの取りなしによって、その一年を任意に選べることになり、追放最後の一年をマツヤ国で舞踊の師ブリハンナラーとして過ごすことが可能となった。呪いがそのまま潜伏を成立させるという構成である。
図像と象徴
固有の像容は定まっていないが、寺院彫刻の天女像はしばしば彼女を念頭に置いて造られる。象徴となるのは、条件つきの結合とその破綻である。守られるあいだだけ続き、一度破れれば戻らないという形が、天と地のあいだの関係を示している。
系譜と関係
ナラとナーラーヤナの腿から生じたとされる。夫はプルーラヴァス、子にアーユスらがある。プルーラヴァスはブダとイラーの子であり、月種王統の祖にあたるため、彼女はパーンダヴァの遠い祖先の一人に数えられる。アルジュナが彼女を母と呼んで退けたのは、この系譜による。
文化的足跡
インド古典文学における恋愛主題の原型の一つとされ、カーリダーサの戯曲は今日も上演される。ヴェーダの断片的な対話がブラーフマナで説話となり、古典劇で完成するという展開は、インド文学史の教科書的な事例として扱われてきた。名は現代インドでも女性名として広く用いられている。