プルーラヴァス
プルラヴァス · プルーラヴァス王 · Pururavas
ブダとイダーの子で月種王統の始祖。アプサラスのウルヴァシーとの恋愛で名高く、条件が破れて別離した。リグ・ヴェーダの対話詩にまで遡る古い主題である。
解説
概要
プルーラヴァス(पुरूरवस् Purūravas)は、インド神話の王である。水星の神ブダとイダー(イラー)の子で、月神ソーマの孫にあたる。
アプサラスのウルヴァシーとの恋愛で名高い。彼女とのあいだにアーユス、ディーマット、アマーヴァス、ドリダーユス、ヴァナーユス、シュルターユスをもうけた。
神話・物語
ウルヴァシーとの物語は、『リグ・ヴェーダ』第10巻95歌の対話詩にまで遡る。インド文学における最も古い恋愛の主題の一つである。
ウルヴァシーは条件を付けて王のもとに留まった。二頭の子羊を守ること、そして自分が王の裸を見ないことである。ガンダルヴァたちが子羊を盗み、王が裸のまま追いかけたところ、稲妻が光って姿が見えてしまう。約束が破れ、ウルヴァシーは去った。
『マハーバーラタ』によれば、プルーラヴァスは十三の大陸を征服したが、慢心してバラモンと戦い、サナト・クマーラの抗議にも耳を貸さなかったため、聖仙たちに呪われて滅びたとされる。
都はプラティシュターナ(プラヤーガ、現在のウッタル・プラデーシュ州イラーハーバード)に置かれた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
条件を破ることによって恋人を失うという型が、この物語の骨格である。見てはならぬものを見る——あるいは見られる——ことが別離を招く。日本の「鶴の恩返し」や、ギリシアのプシューケーの物語とも比較されてきた。
ただしこの版では、破るのは王の側の落ち度ではない。ガンダルヴァが仕組み、稲妻が光る。偶然と他者の作為によって条件が破れるという構成である。
系譜と関係
父はブダ、母はイダー。子はアーユスら。
この王を始祖とする王家を月種(チャンドラヴァンシャ)と呼ぶ。プラーナ文献において、王族のほとんどは日種(スーリヤヴァンシャ)か月種のいずれかに属する。『マハーバーラタ』の主要登場人物は、月種のバラタ族のうちクル王の子孫——クル族——である。
子アーユスの子孫にヤヤーティ、その子ヤドゥがおり、ヤドゥの裔がクリシュナである。
文化的足跡
カーリダーサの戯曲『ヴィクラモールヴァシーヤ』(勇気によって得られたウルヴァシー)は、この物語を主題とする。サンスクリット演劇の代表作の一つである。
日本語圏では、ウルヴァシーの相手として名が挙げられる程度である。しかしインドの王統がすべて日種と月種に二分されるという枠組みにおいて、この王は月種の起点にあたる。