タネ
タネ・マフタ · タネ・ヌイ・ア・ランギ · タネ (マオリ神話)
マオリ神話の森と鳥の神。固く抱き合う天父と地母を脚で押し上げて引き離し、星と月と太陽を空に投げ上げた。土から最初の女を作り、その娘が死の女神となった。
解説
概要
タネ(Tāne、タネ・マフタ、タネ・ヌイ・ア・ランギとも)は、マオリ神話における森と鳥の神である。天父ランギヌイと地母パパトゥーアーヌクの子で、両親は固く抱き合って横たわり、多くの子らはそのあいだの闇に住んでいた。
タヒチでは、タネは平和と美の神である。
神話・物語
天の父ランギと地の母パパの子どもたちは、両親のあいだの狭い空間に閉じこめられていることに苛立っていた。のちに戦の神となるトゥーは、両親を殺そうと言い出した。しかしタネはこれに反対し、両親を引き離すほうがよいと説いた。ランギを空へ送り、パパは下に残して自分たちを養ってもらおうというのである。兄弟のロンゴ、タンガロア、ハウミア、トゥーが順に試みたが、誰も果たせなかった。最後にタネは仰向けに寝て、力強い脚で押し上げ、ついに両親を引き離した。ランギは高く天へ昇っていった。タネは、父を飾るために星と月と太陽を探して、空へ投げ上げた。
嵐の神タウィリマーテアは、両親が引き離されたことに怒り、父とともに天へ昇って、大地と海を激しい嵐で罰した。タネの森も襲われ、木々はへし折られた。
妻を求めたタネは、母パパの助言に従い、ハワイキの赤い土から最初の女性ヒネ・アフオネを造り、これに命を吹き込んだ。二人のあいだにはヒネ・ティータマが生まれた。タネは娘とも交わり、夫が自分の父であると知った娘は冥界へ去った。これが死の女神ヒネ・ヌイ・テ・ポである。タネはまた、天の最も高い層へ昇って三つの知識の籠を手に入れ、人々にもたらしたとされる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、オークランド動物園に置かれたタネ・ヌイ・ア・ランギの木彫である。現代のマオリの彫刻家による作例であり、古い図像ではない。
森と鳥の神であること、そして天地を分けた者であることが、この神を規定する。木が空を支えるという観念が、脚で天を押し上げるという行為に写されている。
関わる神格・伝承
父はランギヌイ、母はパパトゥーアーヌク。妻はヒネ・アフオネ、娘はヒネ・ティータマ(ヒネ・ヌイ・テ・ポ)。
ハワイのカーネ、タヒチのタネと同源である。ハワイのカーネは創造神として四大神の筆頭に置かれる。
タネが造った最初の人間はティキと呼ばれ、この名は人の形の彫刻を指す言葉にもなった。
タネと対をなす兄弟にして敵が、闇の主ウィロである。
タネが知識の籠を求めて昇った最も高い天には、きわめて神聖な神レフアが住む。
文化的足跡
ニュージーランド北島のワイポウア森林に立つカウリの巨木は「タネ・マフタ」と名づけられ、樹齢二千年以上と推定される。森の神の名を負う実在の木として、今日も訪れる者が絶えない。
なおマオリの信仰は、今日まで続く生きた伝統である。
なおポリネシアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。