ロンゴ
ロンゴ・マー・タネ · ロンゴ・マラエ・ロア · Rongo
マオリ神話の栽培植物の神で、とりわけクマラを司る。天地分離に加わったのち、嵐の神から母の懐(大地)に隠れた。野生植物の神ハウミアと対をなす。ハワイのロノと同源。
解説
概要
ロンゴ(ロンゴ・マー・タネとも)は、マオリ神話で栽培植物を司る主要なアトゥア(神)であり、なかでも暮らしに欠かせない作物クマラ(サツマイモ)の神として重んじられた。
マオリが伝統的に育てた作物には、ほかにタロ芋、ヤムイモ(ウウィ)、ティー(コルジリネ)、瓢箪(フエ)がある。どれも熱帯から持ち込まれた作物で、ニュージーランドでは北島の北の端を除けば育てるのが難しかった。温帯の土地で作物を実らせる苦労が、この地でのロンゴの重みを増したのである。
南クック諸島、ことにマンガイア島では、ロンゴは農耕の神であると同時に戦の神でもあった。アカオロとオロンゴのマラエ(聖所)で祀られ、戦の勝利と土地の実りを願って、調理したタロ芋が供えられた。
神話・物語
アラワ族の創世神話では、ロンゴは兄弟トゥー、タネ、タンガロア、ハウミア・ティケティケとともに、原初の両親ランギとパパを引き離して世界に光を入れることに同意した。六番目の兄弟タウィリマーテアはこれに反対し、両親が引き離されたのち、兄弟たちを嵐で攻撃した。
ロンゴとハウミアは母パパの懐——大地——に隠れて難を逃れた。栽培植物と野生植物が土のなかに隠れるという設定は、根菜が地中で育つことの説明でもある。
トゥーはロンゴとハウミアを見つけ、その髪——植物の葉——が地上に出ているのを見て掘り出し、食べた。人が植物を食べることの起源である。
図像と象徴
固有の古い図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
ロンゴを規定するのは、栽培と野生の対比である。ロンゴが栽培植物を、ハウミアが野生植物を司る。人が手をかけたものと、自然に生えるものが、別の神に配されている。
クマラの重要性がロンゴの重要性を決めた。熱帯起源の作物を温帯のニュージーランドで育てることは、マオリにとって最大の農耕上の挑戦であり、その守護神が主要な神の一柱になった。
関わる神格・伝承
父はランギヌイ、母はパパトゥーアーヌク。兄弟はタネ、タンガロア、トゥー、ハウミア、タウィリマーテア。
ハワイのロノと同源である。栽培植物と平和の神という性格が共通し、名も対応する。
文化的足跡
ニュージーランドでは、クマラの植え付けと収穫に際してロンゴへの祈りが今日も行われることがある。マオリの農業復興運動において、この神の名は繰り返し引かれる。
なおマオリの信仰は、今日まで続く生きた伝統である。
なおポリネシアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。