マケマケ
Make Make · Make-Make
ラパ・ヌイ(イースター島)神話の主神。人類を創った創造神にして豊穣の神であり、鳥人儀礼タンガタ・マヌの中心をなす。岩に刻まれた大きな眼の顔で広く知られる。
解説
概要
マケマケ(Makemake、メイク・メイクとも)は、ラパ・ヌイ(イースター島)の神話における最高神である。人類を創り出した創造神であり、同時に豊穣をもたらす神として、島の祭祀の中心に置かれた。太平洋の他のポリネシア諸島には見られない、この島に固有の神格である。ヨーロッパによる最初の言及は、1770年にスペインの遠征隊が島を訪れた記録に遡る。
神話・物語
マケマケが人類を生み出した経緯には諸伝がある。よく語られる一つでは、水面に映る自分の姿に着想を得て、あるいは瓢や頭蓋に生命を吹き込んで人を造ったと伝えられる。孤島の神らしく、明確な配偶神をもたない単独の創造者として描かれる点に特徴がある。祭祀の場では、しばしば従神ハウア(「卵の長」)とともに祈られた。食事の前に一口を取り分け、「ハウアに、マケマケに」と唱えて捧げる習わしがあったと記録されている。二神は、人が海鳥の卵を採り尽くすのを見て、営巣地を沖の小島モツ・ヌイへ移したという。ここから、島の秩序を支えるタンガタ・マヌ(鳥人儀礼)が生まれたと伝えられる。
図像と象徴
マケマケの姿は、島じゅうの岩に刻まれた刻画(ペトログリフ)に残る。大きな円い眼窩をもつ顔、あるいは仮面として表され、しばしば海鳥や卵、女陰をかたどった文様(コマリ)を伴う。これらは創造と多産、生命の循環を指す標識である。像や偶像はほとんど作られず、抽象化された「顔」の記号がくり返し現れる点は、この島の造形言語の独自性をよく示している。祭祀の舞台オロンゴの岩には、卵を握る鳥頭人身の像と並んでマケマケの顔が刻まれ、儀礼との結びつきを今に伝えている。
系譜と関係
マケマケは、天地創世の系譜のなかに位置づけられる汎ポリネシアの神々とは性格を異にし、系図よりも創造そのものの力として立つ。祭祀上の伴侶はハウアで、鳥人儀礼にはこの二神に加え、ハウアの妻ヴィエ・ホア、女神ヴィエ・ケナテアが結びつけられた。タネやタンガロアといった他島に共通の神々がこの島の伝承の前面に出ないことは、ラパ・ヌイが太平洋の東端で独自の神話を育てたことの証しである。
文化的足跡
マケマケは今日もラパ・ヌイの文化的象徴であり、オロンゴやタハイの刻画、「マケマケの洞窟」などにその姿を訪ねることができる。2005年に発見された太陽系外縁の準惑星マケマケは、この神にちなんで命名された。近年の創作でもイースター島の神秘の象徴としてしばしば引かれるが、モアイと同じく、その像は限られた記録と後世の解釈を通して受け取られたものである。