ストリューモーン
ストリュモン · Strymon · Strȳmōn
トラーキアのストリューモーン川の河神。ムーサの一人とのあいだにトロイア戦争の英雄レーソスをもうけた。ヘーラクレースに石を投げ込まれて船が通れなくなったという。
解説
概要
ストリューモーン(Στρυμών / Strymon)は、トラーキアとマケドニアの境を流れて北エーゲ海に注ぐストリューモーン川の神である。ムーサの一柱とのあいだに、トロイア戦争でトロイア方に来援したトラーキア王レーソスをもうけた。
神話・物語
ヘーシオドス『神統記』は、ストリューモーンをオーケアノスとテーテュースの子である河神の一柱に数える(339行)。
最もよく知られる子はレーソスである。母とされるムーサの名は資料によって異なり、エウテルペー(アポロドーロス1.3.4)、カリオペー、テルプシコラー、クレイオーが挙がる。エウリーピデースに帰される悲劇『レーソス』では、息子の死を嘆くムーサが、ストリューモーンの流れに身を任せて交わった日のことを語る。
ヘーラクレースがゲーリュオーンの牛を連れて帰る途中、この川を渡ろうとして行く手を阻まれ、川に大岩を投げ込んで流れを浅くし、以後この川が船の通れないものになったという(アポロドーロス2.5.10)。
ほかに、娘エウアドネーがアルゴスの王アルゴスの妻となったとする伝えや、娘ロドペーがポセイドーンとのあいだにアトス山の名祖アトスを産んだとする伝えがある。
図像と象徴
本サイトの主画像は、トラーキアのセルディ族が前2世紀に発行した青銅貨で、表に若い河神ストリューモーンの頭部が刻まれている。
古代の河神の図像の型に従い、角のある男や水瓶にもたれて横たわる男の姿で表されることもあった。
系譜と関係
父はオーケアノス、母はテーテュース。子はレーソス(ムーサとの子)、娘エウアドネー、ロドペー、テレイネーなど。
文化的足跡
ストリューモーン川はアテーナイにとって北方の戦略上の要地で、河口近くのアムピポリスをめぐる前5世紀の攻防はトゥーキュディデースに詳しく記される。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。