テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
ウェーヨウィス
PLATE — VEIOVIS
ROMA · ローマ神話
VEIOVIS

ウェーヨウィス

ウェイオウィス · ウェーディオウィス · ウェティス(エトルリア)

Jean-Pol GRANDMONT CC BY-SA 3.0

エトルリア起源とされるローマの神。矢束を手に山羊を伴う若者として表され、癒しの神とされる一方、ユーピテルの裏面とも解された。

01

解説

概要

ウェーヨウィス(ラテン語 Vēiovis、ウェーディオウィスとも。まれにウェーイウェ、ウェーディウス)は、エトルリア起源とされるローマの神である。エトルリア語形はウェティス(vetis)、ウェイウィス(veivis)と伝えられる。癒しの神とされ、ギリシアのアスクレーピオスと結びつけられた。一方で火山の噴火に関わるともされ、本来の性格は判然としない。

神話・物語

物語は伝わらない。この神について語られるのは、その名の解釈と祭祀である。

アウルス・ゲッリウスは『アッティカ夜話』(後177年ごろ)で、ウェーヨウィスをユーピテルの不吉な対をなす神と推測した。名の頭にある ve- が、ウェーサーヌス(vesanus、狂った)のようにラテン語で否定や逸脱を示すことに着目し、この名を「反ユーピテル」と読んだのである。同じ理屈でスンマーヌスも比較される。古代人自身による語源解釈であり、そのまま受け取ることはできないが、この神がユーピテルの裏面として意識されていたことは伝えている。

ローマ人はこの神を、最初に生まれた神々の一柱と考えた。若きユーピテル、あるいはアポローと同一視されることもあった。

祭祀は具体的である。カピトーリーヌスの丘の二つの峰のあいだに神殿があり、その神像は矢束を携え、雌山羊の像と並んで立っていた。ティベリス川の中洲にも神殿が置かれた。春には疫病を避けるために多数の山羊が捧げられた。ゲッリウスは、この神が雌山羊を「人の作法にならって(ritū hūmānō)」捧げられたと記す。この不明瞭な句は、人身供犠のやり方でとも、葬送のやり方でとも解しうる。ローマ暦には一月一日、三月七日、五月二十一日の三度、この神の祭日があった。

図像と象徴

矢束——あるいは雷——を手にし、あるいはピールム(投槍)を持つ若者として表され、山羊を伴う。カピトーリーノ美術館が蔵する等身を超える大理石像は、共和政末からフラウィウス朝期のローマの作で、この神を表したものとされる。

矢と山羊という取り合わせは、癒しと疫病の両面を示すものと読まれてきた。矢は疫病を放つ道具でもあり、それを避けるために山羊が捧げられる。アポローが弓で疫病をもたらし、また癒す神であったことと通じる構図である。

系譜と関係

系譜は語られない。ラティウムのボウィッラエとローマが主要な祭祀地であった。

エトルリア起源という点は、ピアチェンツァの肝臓に現れるウェティスの名を通じて論じられる。近年の研究には、このウェティスを、火と地下をあわせ持つ神シュリ(ラテン名ソーラーヌス)の添え名の一つとし、マントゥスアイタカルとともに一柱の神の別名として束ねる立場がある。碑文と図像からの再構成であり、確定した説ではない。火山との結びつきと、癒しの性格と、ユーピテルの裏面という解釈が、この一柱のうちにどう収まるのかは、なお説明されていない。

文化的足跡

カピトーリーヌスの丘の神殿址は、ローマ市庁舎(コンセルヴァトーリ宮)の地下に残り、見学することができる。神そのものは早くから存在感を失ったが、ゲッリウスの語源談義を通じて、ローマ人が神名をどう読み解こうとしたかを示す例として引かれ続けている。名の意味を推し量ることで神の性格を語るという手つきは、古代の宗教解釈の主要な方法であった。

02

領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
アスクレーピオス ギリシア神話 同一視
癒しの神という性格からギリシアのアスクレーピオスと結びつけられた。矢束と山羊という持物は、疫病をもたらしまた癒すという両面を示すものと読まれる。
03

資料

Wikidata
Q1058110 — 骨格データの出典
Commons
Vejovis — 図像カテゴリ