プレイアデス
プレイアデス姉妹 · アトランティデス · ドードーニデス
アトラースとプレイオネーの七人の娘。オーリーオーンに追われ、鳩を経て星に変えられた。肉眼で見えるのが六つである理由が神話として語られる。
解説
概要
プレイアデス(Πλειάδες)は、ギリシア神話の七人の姉妹ニュンペーである。狩の女神アルテミスの従者にあたる。
姉妹のヒュアデスとともに、アトランティデス、ドードーニデス、ニューシアデスとも呼ばれ、幼いディオニューソスの乳母にして教師とされた。
夜空に移されて星団プレイアデスになったと考えられ、雨と結びつけられる。
神話・物語
父はティーターンのアトラース、母はオーケアニスのプレイオネーで、キュッレーネー山で生まれた。母をアイトラーという別のオーケアニスとする資料もある。姉妹のヒュアデスのほか、ヒュアースや、オデュッセウスの物語で名高いニュンペーのカリュプソーがきょうだいにあたる。ヘスペリデスとは異母姉妹とされることもある。
七姉妹のうち最も年上のマイアは、ゼウスとのあいだにヘルメースを産んだ。エーレクトラーはゼウスとのあいだにダルダノスとイーアシオーンを、タユゲテーはゼウスとのあいだにラケダイモーンを産んだ。アルキュオネーはポセイドーンとのあいだに何人もの子を産み、ケライノーもポセイドーンとのあいだにリュコスやニュクテウスらを産んだ。ステロペー(アステロペー)は、アレースとのあいだにエーリスの王オイノマオスを産んだとも、オイノマオスの妻であったともされる。最も年下のメロペーは、シーシュポスと結婚して死すべき身となり、そのために光を失ったとされる。
アトラースが天を担わされたのち、オーリーオーンが七姉妹を追いはじめた。ゼウスは姉妹たちをまず鳩に変え、のちに星に変えたという。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、イライヒュー・ヴェダー《プレイアデス》(1885年)である。
名の由来には二説ある。母プレイオネーの名に由来し「プレイオネーの娘たち」を意味するとするもの。もう一つは、語源的には星団の名が先にあり、母の名のほうが「プレイアデスの母」を示す形として生じたとみるもので、この場合はプレイン(πλεῖν、「航海する」)に由来する。地中海における航海の季節を区切る星団であったためである——「航海の季節はその日出没とともに始まった」。
七つのうち肉眼で見えるのは六つである。この差を説明するために、メロペーが人間と結婚して光を失った、あるいはエーレクトラーがトロイアの滅亡を見るに堪えず顔を覆った、という話が語られた。天体の観察が神話の細部を生んでいる。
関わる神格・伝承
父はアトラース、母はプレイオネー。姉妹はヒュアデス。アルテミスに従う。
同じくアトラースの娘とされるヘスペリデスとは、名も配置も対をなす。西の果てで園を守る姉妹と、天に上げられて星となる姉妹である。
文化的足跡
プレイアデス星団は、日本語圏では「すばる」の名で古くから親しまれてきた。『枕草子』の「星はすばる」という一句が知られる。同じ星団が、ギリシアでは七人の姉妹として、日本では「統ばる」(集まる)という語として名づけられた。
七つのうち六つしか見えないという事実は、世界各地の伝承が説明を試みてきた主題でもある。オーストラリア先住民の伝承にも、姉妹の一人が隠れたという話がある。同じ空を見上げた人々が、同じ欠落に気づいて別々の物語を作ったことになる。