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ピリュラー
PLATE — ΦΙΛΎΡΑ
HELLAS · ギリシア神話
ΦΙΛΎΡΑ

ピリュラー

ピリュラ · ピッリュラー · Philyra

Rijksmuseum CC0

ギリシア神話で「菩提樹」を意味する名。クロノスとのあいだにケイローンを産んだオーケアニス、ナウプリオスの妻、アーソーポスの娘の三人が知られる。

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解説

概要

ピリュラー(Φιλύρα、「菩提樹」)は、ギリシア神話に現れる三人の女性の名である。

同名の女性たち

オーケアニスの一人のピリュラーは、クロノスとのあいだに、賢いケンタウロスのケイローンを産んだ。クロノスは、妻レアーに見つからないよう馬の姿をとって交わったため、生まれた子は半ば人で半ば馬の姿になったとされる。生まれた子の姿に驚いたピリュラーは、育てることを拒み、自分を菩提樹に変えてくれるよう神々に願ったという。名が菩提樹を意味するのは、この結末による。

ナウプリオスの妻の名としてのピリュラーは、パラメーデース、オイアクス、ナウシメドーンの母にあたる。アポロドーロスは、トロイア戦争を歌う叙事詩群のうちの『帰還』で、ナウプリオスの妻がピリュラーとされていたことを伝え、ケルコープスによればヘーシオネー、悲劇詩人たちによればクリュメネーであったと記している。

河神アーソーポスの娘のピリュラーは、ペーネイオスとのあいだにヒュプセウスを産んだとされる。ただし、このラピテースの王の母をナーイス、あるいはクレウーサとする伝えもある。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、サートゥルヌス(クロノス)とニンフのピリュラーを描いた16世紀の版画(アムステルダム国立美術館蔵)である。

第一のピリュラーの物語が、この名の由来を説明する。菩提樹への変身は、望まぬ出産の結末として語られる。追われて植物に変わるダプネーとは異なり、ここでは産んだ子を拒むことが変身の理由である。

ギリシアの変身譚において、樹木への変化はしばしば拒絶の帰結として現れる。人であることをやめることによってのみ、状況から離れられるという構造である。

関わる神格・伝承

第一のピリュラーの子はケイローン。アキレウス、イアーソーン、アスクレーピオスらを育てたこのケンタウロスが、他のケンタウロスと異なり賢明であるのは、クロノスの子であるためだと説明される。

第二のピリュラーは、ナウプリオスの妻の名が三通り伝わることの一つにあたる。同じ人物の名が資料によって異なる例である。

文化的足跡

日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。ケイローンの母として言及される程度である。

しかしケンタウロス族のうちケイローンだけが賢く不死であるという設定は、この出生の特殊性によって説明されている。他のケンタウロスがイクシーオーンと雲ネペレーの子孫であるのに対し、ケイローンはティーターンの子である。同じ姿をした二つの系統が、まったく別の性格を与えられている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

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資料

Wikidata
Q398524 — 骨格データの出典