ヒュプセウス
ヒュプセウス王 · Hypseus
ラピテース族の王でペーネイオスの子。娘キューレーネーはアポローンに愛されてアリスタイオスを産み、別の娘の孫がイクシーオーンである。ケンタウロスと農耕神の双方の祖。
解説
概要
ヒュプセウス(Ὑψεύς、「天の王」の意とされる)は、ギリシア神話の人物である。テッサリアの河神ペーネイオスと水のニュンペーのクレウーサの子で、スティルベーと兄弟。娘アステュアギュイア、キューレーネー、テミストーの父である。
ラピテース族の王で、クレウーサはピンドス山中でヒュプセウスを産んだとされる。
神話・物語
娘のうち、アステュアギュイアはラピテース族のペリパースとのあいだにアンティオーンをもうけ、アンティオーンはアミュターオーンの娘ペリメーレーとのあいだにイクシーオーンをもうけた。
キューレーネーはアポローンとのあいだにアリスタイオスを産んだ。ピンダロス『ピューティア祝勝歌』第9歌は、アポローンがペーリオン山で獅子と格闘するキューレーネーを見て恋し、リビュエーへ連れ去ったと歌う。その地に建てられた都市キューレーネーは、この娘の名を負う。
テミストーはアタマースと結婚した。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この王が担うのは、系譜の結節点という機能である。孫にイクシーオーン——ケンタウロスの祖にして永劫の罰を受ける者——と、アリスタイオス——養蜂と農耕の神——がいる。ラピテース族の王から、ケンタウロスと農耕神の双方が出ている。
「天の王」という名の解釈も見逃せない。ヒュプシ(高い)に由来するとみられ、ピンドス山中で生まれたことに対応する。
関わる神格・伝承
父はペーネイオス、母はクレウーサ。娘はキューレーネー、アステュアギュイア、テミストー。孫はアリスタイオスとイクシーオーン。
ペーネイオスはダプネーの父でもある。したがってヒュプセウスはダプネーの兄弟にあたる。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。キューレーネーの父として、ピンダロスの祝勝歌に現れる程度である。