ペーネイオス
ペネイオス · ペーネイオス · Peneus
テッサリアの河神で、テンペ渓谷を流れる川を体現する。娘ダプネーがアポローンに追われて助けを求めたとき、月桂樹に変えて救った。以後月桂樹はアポローンの聖樹となり、その冠が詩人と勝利者に与えられた。
解説
概要
ギリシア神話において、ペーネイオス(Peneus)はテッサリアの河神であり、三千の河の一つ、オーケアノスとテーテュースの子であった。
系譜
ニュンペーのクレウーサとのあいだに、ラピテース族の王となったヒュプセウス、そして三人の娘——メニッペー、ダプネー、ステイルベー——をもうけた。一部の資料は、キューレーネーを娘とし、あるいはヒュプセウスを通じて孫とする。
神話・物語
ダプネーの変身。 アポローンがエロースの矢によってダプネーに恋し、彼女は逃げた。追いつかれる寸前、ダプネーは父ペーネイオスに助けを求め、月桂樹に変えられた。
オウィディウス『変身物語』第1巻がこの物語を語る。「父よ、助けて。この姿を変えて」という娘の願いに、河神が応じる。
以後、月桂樹はアポローンの聖樹となり、その葉の冠が詩人と勝利者に与えられるようになった。
テンペ渓谷。 ペーネイオス川はオリュンポス山とオッサ山のあいだのテンペ渓谷を流れる。古代において最も美しい景観の一つとされ、アポローンの聖地であった。
伝えによれば、ポセイドーンが三叉戟で山を裂き、湖であったテッサリアの水を流したことでこの渓谷ができた。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ニコラ・プッサン《アポローンとダプネー》である。
娘を変身させて守る父という位置が、この河神を規定する。河神は多くの場合、娘の物語のなかで父として現れる。アーソーポス、イーナコスも同様である。
河神の娘たちがニュンペーであり、神々に追われ、変身するという型が、ギリシア神話に繰り返し現れる。
関わる神格・伝承
父はオーケアノス、母はテーテュース。娘はダプネー。孫はキューレーネー。
文化的足跡
テンペ渓谷は、古代から「テンペ」の名で理想の風景を指す語となった。西洋の田園詩において、アルカディアと並ぶ楽園の代名詞である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。