アーソーポス
アソポス · アーソーポス · Asopus
ボイオーティアの河神。娘アイギーナをゼウスに攫われたとき、シーシュポスが涸れぬ泉と引き換えに誘拐者の名を告げた。追ったアーソーポスは雷霆に打たれて川へ戻された。二十人の娘が各地の名祖となった。
解説
概要
アーソーポス(Asopus)は、ギリシアの四つの異なる川、およびトルコの一つの川の名である。ギリシア神話においては、それらの川の神々の名でもあった。
最もよく知られるのは、ボイオーティアとコリントスのあいだを流れるアーソーポス川の神である。
神話・物語
アイギーナの誘拐。 ゼウスがアーソーポスの娘アイギーナを攫った。これを目撃したシーシュポスは、アーソーポスに「誘拐者の名を教えよう。ただし引き換えに、コリントスの城塞に涸れぬ泉を与えてほしい」と告げた。
取引は成立し、シーシュポスはゼウスの名を明かした。アーソーポスは娘を追ったが、ゼウスの雷霆に打たれて川へ戻された。以後、この川の底からは炭が出るという。
シーシュポスは神の秘密を人に漏らした罰として、冥界で永遠に岩を押し上げることになった。
コリントスのペイレーネーの泉は、この取引によって湧いたとされる。神々の非行を告げた代償として得られた水である。
娘たち
アーソーポスには二十人の娘がいたとされ、その多くが神々に攫われ、各地の都市と英雄の母となった。アイギーナ(アイギーナ島の名祖、アイアコスの母)、テーベー(テーバイの名祖)、サラミース(サラミース島の名祖)、コルキューラ、ネメアーなどである。
河神の娘たちが地名の名祖になるという構造は、ギリシアの土地の系譜を作る装置である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
神に抗議して罰せられる川という点が、この神格を規定する。スカマンドロスがアキレウスに抗議して焼かれたのと同じく、アーソーポスもゼウスに抗して打たれる。土地の神が天の神に敗れる。
関わる神格・伝承
父はオーケアノス(あるいはポセイドーン)。娘はアイギーナ、テーベー、サラミースら。シーシュポスとの取引。
文化的足跡
コリントスのペイレーネーの泉は、遺跡として今日も残る。ペーガソスがこの泉で水を飲んでいるところをベレロポーンに捕らえられたという伝説もある。