エテオクレース
エテオクレス · Eteokles · Eteocles
オイディプースの子でテーバイ王。兄ポリュネイケースに王位を渡さず、七将の攻撃を受けて兄と相討ちになった。
解説
概要
エテオクレース(Ἐτεοκλῆς / Eteoklēs)は、テーバイ王オイディプースとイオカステーの子で、父の追放後にテーバイを統べた王である。名は「真の名誉を持つ者」と解される。
彼の評価は伝承によって反転する。約束を破った簒奪者として語られることもあれば、外国の軍から都市を守る唯一の王として語られることもある。同じ人物のどちらを前に出すかで、テーバイ物語の性格そのものが変わる。
神話・物語
父の呪い——剣によって互いの取り分を奪い合え——を受けた兄弟は、一年交代で統治する取り決めを結んだ。だが彼は期限が来ても王権を渡さず、兄ポリュネイケースを追放する。どちらが先に治めたかは資料によって入れ替わる。
追われた兄がアドラーストスのアルゴス勢を率いて攻め寄せると、彼は七つの門それぞれに将を配して迎え撃った。アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』の中心をなすのは、敵将の楯の紋章を一つずつ読み解き、それに対抗しうる味方の将を選んでいく長い場面である。最後の門に兄の名を聞いたとき、彼は自ら出ることを選ぶ。父の呪いが成就することを知りながら、王としての務めとして受け入れる——この悲劇が彼を都市の守護者として描くのはこの一点による。
両軍の合意による一騎討ちで、兄弟は互いを刺し違えて死んだ。クレオーンは彼を国の守り手として手厚く葬り、兄の遺体は野ざらしにするよう命じる。同じ日に同じ場所で死んだ二人が、まったく違う扱いを受けることになった。
葬火にまつわる後代の話もある。妹アンティゴネーがポリュネイケースの遺体を彼の葬火に投じたところ、炎が二つに分かれたという。死後もなお和解しない兄弟という主題が、火の形として語られている。
図像と象徴
彼の図像は、ほぼすべて兄との相討ちの場面である。単独の標識を持たない。
本ページの主画像は、エトルリアのウルチにあるフランソワ墓の壁画(前4世紀)の一部で、テーバイ物語とトロイア物語の場面を並べた大画面のうち、兄弟の対決を描く区画にあたる。エトルリア人がギリシアの英雄譚のなかからとりわけこの主題を選び、墓室の壁に置いたことは、兄弟殺しが葬礼の文脈で持った重みを示している。
系譜と関係
父オイディプース、母イオカステー。兄弟姉妹はポリュネイケース、アンティゴネー、イスメーネー。子はラーオダマース。
ラーオダマースは十年後、エピゴノイの攻撃を受けてテーバイを守り、アドラーストスの子アイギアレウスを討ったのちアルクマイオーンに討たれた。父の代の対立が、そのまま子の代でもう一度戦われている。
文化的足跡
アイスキュロスの『テーバイ攻めの七将』は、アリストパネス『蛙』のなかで「軍神アレースに満ちた劇」と呼ばれ、観客を戦意で満たす作品として引かれている。七つの門と七人の将を一つずつ数え上げる構成は、都市を守るという主題を形式そのもので示した例として知られる。