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キュクロープス
PLATE — ΚΎΚΛΩΨ
HELLAS · ギリシア神話
ΚΎΚΛΩΨ

キュクロープス

サイクロプス · キュクロプス · 一つ目巨人

Steven Lek CC BY-SA 4.0

ギリシア神話に登場する、額に一つの目をもつ巨人。天地の初めに生まれ雷霆を鍛えた神々の職人とも、オデュッセウスに目を潰される粗野な牧人ポリュペーモスの一族とも語られる、由来を異にする伝承をもつ。

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解説

概要

ギリシア神話に登場する、額の中央にただ一つの目をもつ巨人。その名は「丸い目」を意味する。伝承によって性格が大きく異なり、天地の初めに生まれて雷霆を鍛えた神々の職人とも、辺境に住まう粗野な牧人の一族とも語られる。一つ目という異形においては共通するが、それぞれの物語で担う役割はまったく別である。

登場する物語

最も古い層では、ヘシオドス『神統記』が三体のキュクロープスを伝える。ブロンテース(雷)、ステロペース(電光)、アルゲース(閃光)——ウーラノス(天)とガイア(地)の子である彼らは、父に疎まれて地の底に幽閉されていた。ゼウスがティーターンとの戦いティーターノマキアーに際して彼らを解き放つと、感謝した彼らはゼウスに雷霆を、ポセイドーンに三叉戟を、ハーデースに姿を隠す兜を鍛えて授けた。名工としてのキュクロープスである。のちに、医神アスクレーピオスを雷霆で撃たれたことに怒ったアポローンが、その雷霆を作ったキュクロープスを射た、とも語られる。

これとはまったく別に、ホメーロス『オデュッセイア』が描くのは、掟も知らぬ野蛮な牧人の一族としてのキュクロープスである。海神ポセイドーンの子ポリュペーモスは、洞穴に漂着したオデュッセウス一行を捕らえ、幾人かを喰らった。オデュッセウスは自らを「誰でもない(ウーティス)」と名乗り、葡萄酒で酔わせた巨人の一つ目を、焼けた杭で潰す。目を潰されたポリュペーモスが「誰でもないが襲う」と叫んだため仲間の巨人は取り合わず、英雄は羊の腹の下に隠れて洞穴を脱した。力に対して機知が勝つ、名高い頓知の物語である。

図像と象徴

古典期以来、キュクロープスは額に一つの目をもつ筋骨たくましい巨人として表された。とりわけオデュッセウスがポリュペーモスの目を潰す場面は、前古典期の壺絵から繰り返し描かれた主題である。ただ一つの目は、常人を超えた力と、同時にそこを突かれれば脆いという弱点とを、一身に象徴する。ポリュペーモスをめぐっては、海のニンフ・ガラテイアへの片恋の物語も後代に好まれ、粗野な巨人の意外な一面として絵画や音楽の題材となった。

系譜と関係

ヘシオドスのキュクロープスはウーラノスとガイアの子で、ティーターンや百手巨人とは兄弟にあたる原初の存在である。一方ホメーロスのポリュペーモスはポセイドーンの子とされ、両者の系譜はそもそも別系統である。さらに後代には、巨石を積んだミュケーナイやティリンスの城壁を築いたのはキュクロープスだとする伝えも生まれ、その石積みはキュクロプス式石積みと呼ばれるようになった。「一つ目の巨人」という像のもとに、由来を異にする複数の伝承が重なり合っている。

文化的足跡

一つ目の巨人という強烈な造形は、後世の美術・文学で繰り返し取り上げられた。オデュッセウスとポリュペーモスの知恵比べは、力に知略が打ち勝つ物語の原型として広く親しまれ、近代以降も絵画・映画・ゲームに数多く引かれている。生物学では、目が一つに融合する奇形を「単眼症(キュクロピア)」と呼ぶなど、その名は学術語にも残る。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q128430 — 骨格データの出典
Commons
Cyclops — 図像カテゴリ