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ウィクトーリア
PLATE — VICTŌRIA
ROMA · ローマ神話
VICTŌRIA

ウィクトーリア

ウィクトリア · ヴィクトリア

Nicola Quirico CC BY-SA 4.0

ローマ神話の勝利の女神。ギリシアのニーケーを承けつつ、ローマ国家の宗教で重んじられた。翼をもち、球に立って花冠をかかげる姿で、勝利と支配の正統性を保証した。

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解説

概要

ウィクトーリア(Victōria / Victoria)は、勝利を擬人化したローマの女神である。ギリシアの勝利の女神ニーケーを承けた存在だが、ニーケーが比較的小さな神格にとどまったのに対し、ウィクトーリアはローマ国家の宗教において大きな位置を占めた。翼をもつ姿で、ローマの勝利と、世界を統べる権利そのものを保証する神として崇められた。

由来と祭祀

ウィクトーリアは、第一次ポエニ戦争のころ、南イタリアのギリシア勢力が奉じたニーケーをローマ風に呼びかえる形で現れたとされる。その起源は、サビニ人の古い女神ワクナにもさかのぼると考えられている。固有の物語をほとんどもたない「神格化された抽象」でありながら、手厚い祭祀の対象となった点に、この女神の特色がある。

前294年にはパラティヌスの丘に神殿が捧げられ、戦利品を奉納する場となった。凱旋する将軍や軍隊はことにこの女神を崇め、勝利した将には「ウィクトーリオラ」と呼ばれる小さな女神像が贈られた。とりわけ名高いのが、元老院議事堂(クリア・ユリア)に置かれた「勝利の女神の祭壇(アラ・ウィクトーリアエ)」である。アクティウムの海戦の勝利を記念してオクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)が前29年に据えたもので、球の上に立ち花冠をかかげる金色の女神像を戴き、元老院議員は開議のたびにその前で香を焚いた。この祭壇が4世紀末、キリスト教徒の皇帝グラティアヌスによって撤去されると、ローマには大きな反発が起こり、その存廃はローマ異教の最後の抵抗を象徴する出来事となった。

図像と象徴

ウィクトーリアは、翼を広げ、しばしば球(世界)の上に降り立ち、勝利のしるしである花冠や棕櫚の枝をかかげる姿で表される。戦車を駆る姿や、ユーピテルマールスといった大神の掌に小さく添えられる姿もある。硬貨には「ウィクトーリア・アウグスティ」の銘とともにくり返し刻まれた。ブレシアに伝わる大ぶりの青銅像「有翼のウィクトーリア」は、この女神の堂々たる姿を今に伝える名高い作例である。

系譜と関係

擬人神であるため、その系譜はニーケーのものを承け、ティーターンのパラースと冥河ステュクスの娘とされる。戦の女神ベローナ、ローマを体現する女神ローマ、そしてユーピテルやマールスと結びつけられた。ギリシアのニーケーとは、インテルプレタティオ・ロマーナによる同一視で結ばれる。勝利=軍事的栄光を司る面から、その働きは軍神とも重なる。

文化的足跡

球に立ち翼を広げ花冠をかかげるウィクトーリアの姿は、西洋美術における「勝利」の原型となった。ローマの凱旋門から、パリのエトワール凱旋門、ベルリンのブランデンブルク門の女神像、各地の戦勝記念碑にいたるまで、翼ある勝利の女神はくり返し造形されてきた。ルーヴルの「サモトラケのニケ」もこの系譜に連なる。その名は今日も勝利や成功の象徴として広く用いられている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ニーケー ギリシア神話 同一視
インテルプレタティオ・ロマーナ。ローマはギリシアの勝利の女神ニーケーをウィクトーリアと同一視した。
ブリガンティア ケルト神話 同一視
ヨークシャー西部グリートランドとカスルフォードの祭壇が Victoria Brigantia と刻む。ビレンズの浮彫も翼と球というウィクトリアの持物を備える
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資料

Wikidata
Q308902 — 骨格データの出典
Commons
Victoria (mythology) — 図像カテゴリ