ニーケー
ニケ · ニケー
勝利を擬人化したギリシアの女神。翼をもち、戦いや競技の勝利を司る。ゼウスやアテーナーに従い、勝者に花冠を授ける。ローマのウィクトーリアと同一視された。
解説
概要
ニーケー(Νίκη / Nike)は、勝利を擬人化したギリシアの女神である。戦いの勝利のみならず、競技や芸術の競い合いにおける勝利をも司る。翼をもつ姿で表され、主神ゼウスや女神アテーナーに付き従う者として知られる。
神話・物語
ニーケーは、ティーターン神族のパラースと、冥河の女神ステュクスとのあいだに生まれた。力を体現するクラトス、暴力のビアー、競争心のゼーロスを兄弟にもつ。神々とティーターンの大戦に際して、母ステュクスがいち早く子らを率いてゼウスの側についたため、ゼウスはこれを重んじ、以後ニーケーは常にゼウスのかたわらに侍ることになったと伝えられる。
固有の物語に富む神というより、勝利という観念そのものが神の姿をとった存在である。アテナイのアクロポリスには「勝利のアテナ(アテナ・ニケ)」の神殿が建ち、女神アテーナーと分かちがたく結びついた。ニーケーは、勝者のもとへ翼で舞い降り、花冠や棕櫚の枝を授ける者として思い描かれた。
図像と象徴
ニーケーは、翼を広げて空を舞い、あるいは軽やかに舞い降りる若い女性として表される。手には勝利のしるしである花冠や棕櫚の枝、あるいは細布をもつ。しばしばゼウスやアテーナーの掌に乗る小さな像として、大きな神像に添えられた。オリンピアに伝わるパイオニオス作のニーケー像(前420年頃)は、天から降り立つその姿をとらえた名高い作例である。
系譜と関係
父はティーターンのパラース、母は冥河ステュクスで、クラトス・ビアー・ゼーロスと兄弟の関係にある。ゼウスとアテーナーに従う。ローマでは、インテルプレタティオ・ロマーナを通じて勝利の女神ウィクトーリアと同一視された。勝利=軍事的な栄光を司る面から、その働きは軍神とも重なる。
文化的足跡
ローマのウィクトーリアは、皇帝の勝利をことほぐ国家的な崇拝の対象となった。ルーヴルに立つ「サモトラケのニケ」は、翼を広げたこの女神の像として世界にもっとも知られる。その名は現代のスポーツ用品ブランドにも採られ、翼を思わせる意匠とともに親しまれている。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。