スンマーヌス
スマヌス · Summanus
ローマの夜の雷の神で、昼の雷のユーピテルと対をなす。エトルリアの九柱の雷神の一つとされ、前278年にユーピテル像の頭が雷で落ちたとき神殿が建てられた。オウィディウスの時代には正体が忘れられていた。
解説
概要
スンマーヌス(Summanus)は、古代ローマの宗教における夜の雷の神であり、一部の記述ではユーピテルから来る昼の雷と対をなす。その正確な性質はオウィディウスにとってさえ不明であった。
プリニウスはエトルリア起源で、九柱の雷の神の一つと考えた。ウァッローはサビニの王ティトゥス・タティウスが誓願の結果として祭壇を捧げた神々のなかにスンマーヌスを挙げる。パウルス・ディアコヌスは稲妻の神とみなした。
名と性質
名はスンムス・マーニウム「マーネースのうち最高の者」、あるいはスブ(下)+マーネ(朝)、それゆえ「夜間」に由来すると考えられる。マルティアヌス・カペッラによれば、スンマーヌスは冥界の神々のうち最高の者としてのプルートーの別名である。
昼の雷はユーピテル、夜の雷はスンマーヌスという分担が、この神の性格を示す。夜に落ちる雷が、昼とは別の神に帰されている。
神殿
前278年、ピュッロス戦争のさなか、カピトリーヌスのユーピテル神殿の屋根のユーピテル像の頭が雷に打たれて落ちた。占い師はこれをスンマーヌスの怒りと解し、キルクス・マクシムスの近くにスンマーヌスの神殿が建てられた。神殿の落成日6月20日には、車輪の形の菓子が捧げられた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
正体不明であることが、この神を規定する。オウィディウス『祭暦』は「スンマーヌスが誰であれ」と書き、ローマ人自身がこの神の性格を忘れていたことを示す。古い神が、名と祭日だけを残して消えていく過程が、記録に残っている。
関わる神格・伝承
ユーピテルと対をなす。プルートーの別名ともされる。エトルリアの雷神の体系に属する。
エトルリアには九柱の雷神があり、それぞれ雷の種類と方角を分担した。スンマーヌスはその一つがローマに取り入れられたものとみられる。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。ローマ宗教史において、忘れられた神の例として引かれる。