テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
PLATE — VAJRAYAKṢA
DHARMA · 仏教の尊格
VAJRAYAKṢA

金剛夜叉明王

ヴァジュラヤクシャ · 金剛薬叉 · Vajrayakṣa

五大明王の一尊で北方の守護神。もと人を喰らう夜叉であったが大日如来の威徳で善に目覚め、悪人だけを喰らう仏となった。正面の顔に五つの眼を持つ。不空成就如来の教令輪身。

01

解説

概要

金剛夜叉明王は、密教における五大明王の一人で、烏枢沙摩明王(台密系)とともに北方の守護神である。

梵名はヴァジュラヤクシャであり、ヴァジュラとは金剛杵という武器を意味する。ヴァジュラはインドにおける雷を放つ神の武器であり、金剛夜叉明王は「雷=どのような障害をも貫く聖なる力を持つ神」という意味である。

神話・物語

金剛夜叉明王は、人を襲っては喰らう恐るべき魔神(夜叉)であり人々の畏怖の対象であったが、のちに大日如来の威徳によって善に目覚め、仏教の守護神五大明王の一角を占める仏となった。

仏教に帰依した金剛夜叉明王は悪人だけを喰らうようになったと言われ、ここから「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」という解釈が一般的となり、それゆえ日本においても古くから敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として広く武人たちに信仰された。

起源

金剛夜叉明王の起源は、曼荼羅や経典に登場する金剛牙菩薩、金剛薬叉菩薩(いずれも梵語にするとヴァジュラヤクシャ)および別称の金剛吼菩薩、摧一切魔菩薩と考えられる。

金剛薬叉菩薩は、鳩摩羅什訳とされる旧訳『仁王経』に説かれる五大力菩薩と呼ばれる憤怒相の菩薩の一つであり、これらは明王の先駆けであるため、のちに不空訳とされる新訳『護国仁王般若経』では五大明王を配当している。

図像と象徴

固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。

三面六臂の姿で、何よりも正面の顔は眼が五つもある特徴ある相をしている。六本の手には名前の由来である金剛杵や弓矢や長剣、金剛鈴等を把持して構えている姿が一般的である。

五つの眼という造形が、この明王を規定する。五眼は五智を表すと解される。

関わる神格・伝承

五大明王の一尊。他の四尊は不動明王(中央)、降三世明王(東)、軍荼利明王(南)、大威徳明王(西)。

不空成就如来の教令輪身。真言宗(東密)では金剛夜叉明王を北方に置き、天台宗(台密)では烏枢沙摩明王を北方に置く。

文化的足跡

京都・東寺講堂の立体曼荼羅の金剛夜叉明王像(9世紀)が代表作として知られる。

なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q11646516 — 骨格データの出典