過去七仏
かこしちぶつ · 七仏 · 過去仏
釈迦までに登場した七人の仏陀——毘婆尸・尸棄・毘舎浮・倶留孫・倶那含牟尼・迦葉・釈迦。釈迦は最初の仏ではなく七番目である。バールフトの七仏造樹浮彫が最古の作例。七仏通戒偈で知られる。
解説
概要
過去七仏とは、釈迦仏までに(釈迦を含めて)登場した七人の仏陀をいう。古い順から、毘婆尸仏、尸棄仏、毘舎浮仏、倶留孫仏、倶那含牟尼仏、迦葉仏、釈迦牟尼仏の七仏。いわゆる過去仏信仰の代表的な例である。
概要
仏教では過去現在未来の三世にわたってそれぞれ千人ずつ仏が出現すると説かれているが、前三仏は過去荘厳劫の千仏のうち最後の三仏、後四仏は現在賢劫の千仏のうち最初の四仏といわれる。
仏教では、釈迦仏が仏教という大宗教を成したのは単に釈迦一代のみの事業ではなく、過去においてすでに成道し成仏した前世の功徳が累積した結果であるとする。この考え方は相当古く、紀元前後に建立されたインド・バールフットの欄楯に、七仏造樹の浮彫がある。
七仏にはそれぞれ成道の樹がある。毘婆尸仏は波羅利華樹、尸棄仏は分陀利樹、毘舎浮仏は娑羅樹、倶留孫仏は尸利沙樹、倶那含牟尼仏は烏暫婆羅樹、迦葉仏は尼拘律樹、釈迦仏は菩提樹(畢鉢羅樹)である。仏像以前の時代、七仏はこの七本の樹によって表された。
提婆達多派
仏教では一般的に、提婆達多は釈迦仏に違背し逆罪を犯した大悪人とされている。しかし法顕三蔵の『仏国記』などの記録から、後年における提婆達多派の教団では、提婆達多の遺訓を尊び、独自の戒律を定めて、釈迦を除く過去の六仏を信仰していたことが明らかとなっている。
図像と象徴
固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。バールフトの七仏造樹浮彫が最古の作例である。
七仏を横一列に並べる図像は、インドから中国、日本へ伝わった。敦煌の壁画、法隆寺の七仏薬師、東大寺の七仏薬師法など、七という数が仏の系列を表す定型になった。
釈迦が最初の仏ではなく、七番目の仏であるという観念が、この群を規定する。仏は繰り返し現れる。釈迦の悟りは、はるかな過去から続く系列の一つの現れにすぎない。
七仏通戒偈「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」は、七仏に共通する教えとして、仏教の教えの要約とされる。
関わる神格・伝承
第八の仏として未来仏弥勒が続く。賢劫の五仏は、倶留孫・倶那含牟尼・迦葉・釈迦・弥勒である。
燃燈仏は七仏には含まれず、二十八仏の系列に属する。
文化的足跡
「七仏通戒偈」は、東アジアの仏教において最も広く知られた偈の一つであり、「悪をなさず善を行い自らの心を浄める、これが諸仏の教えである」という一句は、仏教の倫理の要約として引かれ続けている。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。