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ケツァルコアトル
PLATE — QUETZALCŌĀTL
AZTECA · アステカ神話
QUETZALCŌĀTL

ケツァルコアトル

ケツァルコワトル · 羽毛の蛇 · 白のテスカトリポカ

Bodleian Libraries, University of Oxford PUBLIC DOMAIN

アステカ神話の主要な神。ケツァル鳥の羽毛と蛇を合わせた「羽毛の蛇」で、風・創造・知恵を司る。冥界から死者の骨を持ち帰って現在の人類を作った文化神で、マヤのククルカンと同一視される。

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解説

概要

ケツァルコアトル(Quetzalcōātl)は、アステカ神話を代表する神格である。その名はナワトル語でケツァル鳥の羽毛(quetzal)と蛇(coatl)を合わせた「羽毛の蛇」を意味する。天を舞う鳥と地を這う蛇を一身に備え、天と地を結ぶ仲介者と解された。創造神にして文化の授け手であり、の神エエカトルとしての相、明けの明星(金星)としての相をあわせ持つ。もとはトルテカ族が篤く崇めた神で、さらに遡ればテオティワカンの「羽毛の蛇」神殿にその古い姿が刻まれている。アステカはこの古い神を受け継ぎ、原初神の子の一柱として最高位に近い地位を与えた。マヤのククルカンとも同一視される、メソアメリカ全域の神である。

神話・物語

アステカの伝承では、ケツァルコアトルは原初神トナカテクトリとトナカシワトルの四人の子の一柱、西を司る「白のテスカトリポカ」として現れる(『絵によるメキシコ人の歴史』)。四柱は世界を創る使命を負い、五つの太陽と呼ばれる時代の交替のなかで、ケツァルコアトルは太陽の座に就いた時代もあったと伝えられる。第五の太陽——現在の世界——では、羽毛の蛇の姿で冥界ミクトランに下り、滅んだ人類の骨を持ち帰って自らの血を注ぎ、いまの人類を作ったとされる。人にトウモロコシと農耕、暦と知をもたらした文化神でもある。

いっぽう、トルテカの都トゥーラ(トラン)の司祭王セ・アカトル・トピルツィンとして語られる相もあり、神と歴史上の人物の記憶が重なっている。この王は人身供犠を禁じ、法と徳によって平和を治めたが、供犠を好むテスカトリポカの策略で、呪いのかけられた酒プルケをそれと知らずに飲まされ、我を失って恥ずべき振る舞いに及び、都を追われた。東の海へ去るにあたり再びの帰還を約したとも、身を焼いて明けの明星になったとも伝えられる。この「帰還の約束」は、1519年に東から来たスペイン人コルテスを神の再来と結びつける伝承を生んだが、征服後に形を得た物語として、近年は慎重に扱われている。

図像と象徴

図像の核は、緑に輝くケツァル鳥の羽毛をまとった蛇である。とぐろを巻き、あるいは体をうねらせて描かれ、羽毛は神性を、蛇身は大地を示すと解される。風神エエカトルの相では、風を送り出す突き出た鳥の嘴のような赤い仮面をつけ、円錐形の帽子と、巻貝を輪切りにした胸飾りを帯びる。巻貝の断面は風の渦の象徴とされる。明けの明星の相では星の記号を伴う。コデックス・ラウドやコデックス・ボルジアといった写本には、羽毛の蛇と風神エエカトルの二つの姿が並べて描かれ、一柱の神が複数の相を持つことが可視化されている。テオティワカンの神殿を飾る石彫の羽毛の蛇は、この図像が千年以上の厚みを持つことを物語る。

系譜と関係

系譜には異伝が多い。原初神トナカテクトリとトナカシワトルの子とする伝えのほか、司祭王トピルツィンとしては狩人神ミシュコアトルの子とされる。対をなす存在として、宿敵テスカトリポカがつねに置かれる。両者の反目は、創造と破壊、秩序と混沌が交替するアステカの宇宙観そのものを体現する。同じ原初神の子とする伝えでは、メシカの守護神ウィツィロポチトリも兄弟に数えられる。他体系との関係では、マヤのククルカン(ユカタン)やキチェ・マヤのグクマッツと同じ「羽毛の蛇」信仰に連なり、メソアメリカ各地で名を変えて崇拝された。

文化的足跡

羽毛の蛇はメキシコの国民的象徴の一つであり、テオティワカンやチチェン・イッツァの神殿は、今日の観光と考古学の焦点となっている。ケツァルコアトルの名は、白亜紀の翼竜ケツァルコアトルスにも与えられた。ゲームやアニメ、ファンタジー作品にも「羽毛の蛇」や竜のモチーフでしばしば登場するが、原典のケツァルコアトルは炎を吐く竜ではなく、風と知と創造を司る文化神である。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ククルカン マヤ神話 同一視
アステカ(ナワトル)の羽毛の蛇。同一の羽毛の蛇信仰がメソアメリカ全域に広がり、Kukulkan=Quetzalcoatlとして同一視される。
エエカトル アステカ神話 同一視
別神ではなく同一神格の相。エエカトル=ケツァルコアトルの複合名で絵文書・サアグン記録に現れ、風として働く羽毛の蛇の名がエエカトルである。

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

MIXCŌĀTL
ミシュコアトル
チマルマン
QUETZALCŌĀTL
ケツァルコアトル
アステカ神話
チマルマン
QUETZALCŌĀTL
ケツァルコアトル
アステカ神話
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資料

Wikidata
Q179818 — 骨格データの出典
Commons
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