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エエカトル
PLATE — EHĒCATL
AZTECA · アステカ神話
EHĒCATL

エエカトル

エエカトル=ケツァルコアトル · エヘカトル · エーカトル

Simon Burchell / CC BY-SA 3.0 CC BY-SA 3.0

アステカ神話の風の神。羽毛の蛇ケツァルコアトルが風として現れた相とされ、エエカトル=ケツァルコアトルとも呼ばれる。突き出た嘴形の面と円形の神殿で知られる。

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解説

概要

エエカトル(Ehēcatl)は、アステカ神話をはじめとする中央メキシコの諸文化が伝える風の神である。名はナワトル語でそのまま「風」を意味する。多くの資料はこれを羽毛の蛇ケツァルコアトルの風としての現れと解し、エエカトル=ケツァルコアトルの複合名で呼ぶ。風は四方どこへも吹くため、この神は特定の方位に縛られず、四方位すべてと結びつけられた。雨を運ぶ風となって道を掃き清める者として、雨神トラロックの先触れの役も担う。

神話・物語

五つの太陽の宇宙観において、第二の太陽「四の風(ナウィ・エエカトル)」の時代を統べたのがこの神である。その世界は大風によって滅び、生き延びた人々は猿に姿を変えられたと伝えられる。

第五の太陽の創成にも、エエカトルは決定的な役をもって現れる。神々がテオティワカンに集い、ナナワツィンテクシステカトルが火に身を投じて太陽と月となったが、両者は天に昇ったまま動かなかった。神々がみずからを犠牲に供してもなお動かず、最後にエエカトルが力を込めて吹きつけたことで、はじめて太陽は運行を始めたという。犠牲を拒んで姿を変えつづけたショロトルを捕らえたのも、この神であったと語られる。

人がプルケを得た由来も、この神に帰される。エエカトルは天上でツィツィミトルたちに守られていた女神マヤウェルを連れ出し、地上で二股の樹となって睦みあった。追ってきた者たちに引き裂かれた女神の骸をエエカトルが葬ると、そこからリュウゼツランが生え、その樹液が酒となったと伝えられる。

図像と象徴

エエカトルの図像を一目で見分けさせるのは、口から前方へ突き出た赤い嘴形の面である。鴨の嘴に見立てられることが多いが、ナワの側ではむしろ風を吹き出すための器官として理解されていたとみられる。円錐形の帽子——ジャガーの毛皮で作られる場合もある——を戴き、目のまわりには丸い縁取りが描かれる。

胸に下げる螺旋状の飾りエエカイラカコスカトルは、巻貝を横に切って断面を見せたもので、「風の玉飾り」と呼ばれる。渦の形が風の運動そのものを表す。この飾りは双子ショロトルやケツァルコアトルの図像にも共有され、三者が一つの神格の相であることを示す徽となっている。貝を用いる点に、湾岸のワステカ地方に淵源を求める説の根拠がある。

建築の上でも、この神は例外的な形を残した。エエカトルの神殿は円形ないし円筒形に建てられる。風の抵抗を減らすためと説明されるが、方形の基壇を常とするメソアメリカ建築のなかで際立つ形である。トルーカ近郊のカリシュトラワカの遺構がよく知られ、二つの面を突き出させ、そのあいだを風が吹き抜けるように造られた例もあったと伝えられる。

系譜と関係

ケツァルコアトルとの関係は「別の神」ではなく「相」である。羽毛の蛇が風として働くときの名がエエカトルであり、両者は同じ神格の二つの現れとして扱われる。双子の犬の神ショロトルとも風の玉飾りを共有する。

暦との結びつきは深い。トナルポワリの第二の日符号がエエカトルであり、「9の風」はこの神自身の日名とされた。マヤの暦では対応する日符号がイクとなる。ワステカ地方、さらにマヤ地方のククルカン信仰にも円形神殿が見られ、風の神と羽毛の蛇との結合が広い範囲に及んでいたことを示している。

文化的足跡

円形神殿はメソアメリカ考古学の指標のひとつであり、その分布はこの信仰の広がりを測る手がかりとなっている。メキシコ市では1967年、地下鉄二号線の工事中にピノ・スアレス駅の構内から円形の基壇が現れた。四段階の建て替えをもつこの遺構はそのまま保存され、駅の設計が変更された。メキシコでもっとも小さな遺跡と呼ばれるこの神殿は、いまも日々の通勤路のかたわらに据わっている。近代都市の地下から風の神の祠が出るという事実そのものが、テノチティトランの上に建つメキシコ市の成り立ちを語っている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ケツァルコアトル アステカ神話 同一視
別神ではなく同一神格の相。エエカトル=ケツァルコアトルの複合名で絵文書・サアグン記録に現れ、風として働く羽毛の蛇の名がエエカトルである。
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資料

Wikidata
Q1124258 — 骨格データの出典
Commons
Ehecatl — 図像カテゴリ