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ナンナ
PLATE — NANNA
NORÐR · 北欧神話
NANNA

ナンナ

ナーナ · ナンナ・ネプスドッティル · Nanna

H・W・ビッセン《ナンナ》(1857年、ニュ・カールスベア・グリプトテク蔵)/撮影: Bloodofox PUBLIC DOMAIN

バルドルの妻でフォルセティの母。夫の火葬の場で悲しみのあまり息絶え、その船にともに乗せられて焼かれた。ヘルの館では夫と並んで座し、使者に土産を託した。

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解説

概要

ナンナ(Nanna)は、北欧神話の女神。ネプの娘とされ、バルドルの妻でフォルセティの母である。夫とともにアースガルズのブレイザブリクに住んだ。

名の由来は定まらない。「母」を意味する幼児語 nanna に遡るとする説と、ヤン・デ・フリースのように語根 *nanþ-(「敢えてする者」)に結びつける説がある。ジョン・リンドウは、古ノルド語に「女」ほどを意味する普通名詞 nanna が存在したのではないかと推測する。ジョン・マッキネルは、この二説は必ずしも別物ではなく、もとは「力を与える者」ほどを意味したかもしれないと述べる。

神話・物語

ギュルヴィたぶらかし』第49章。ロキの企みによってバルドルが弟ヘズの手にかかって死ぬ。遺体は海辺へ運ばれ、船フリングホルニに乗せられた。そのときナンナは倒れ、悲しみによって息絶える。その体も夫と並べて船に置かれ、船は火をかけられて海へ送り出された。トールが槌で薪を聖別する。

のちにヘルモーズが兄を連れ戻すべくヘルの国へ下ると、館の上座にバルドルとナンナが並んで坐していた。交渉が成ると、二人はヘルモーズを館の外まで送る。バルドルは腕輪ドラウプニルを父オーディンへ、ナンナはフリッグへ亜麻の衣を、女神フッラへ黄金の指輪を、そのほかにも幾つかの品を託した。

死者が生者へ贈り物を送る——北欧神話でこの形をとる場面は他にない。しかも贈り主は、自分の意思でそこへ行った者ではなく、悲しみに殺されて連れて行かれた者である。

『詩語法』第1章では、エーギルを迎える宴に列する八柱の女神の一人に数えられる。同じ書はバルドルのケニングとして「ナンナの夫」、フリッグのケニングとして「ナンナの姑」を挙げる。『古エッダ』の『ヒュンドラの歌』にもナンナの名が現れるが、そちらはネクヴィの娘とされており、同じ女神を指すかどうかは分からない。

サクソ・グラマティクス『デンマーク人の事績』第3巻は、これをまったく別の物語にする。ナンナは女神ではなく人間の王ゲヴァルの娘である。乳兄妹のホテルス(ヘズ)に心を寄せているところへ、水浴する姿を見たバルデルス(バルドル)が彼女を求め、二人は繰り返し戦う。ナンナが選んだのはホテルスであり、二人は婚礼を挙げる。バルデルスはナンナの夢に苛まれて衰弱していく。エッダでは夫の死を追った妻が、サクソでは二人の男が争う原因になっている。同じ名の下に、まったく別の役が与えられている。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、H・W・ビッセン(1798–1868)が1857年に制作した像である(コペンハーゲン、ニュ・カールスベア・グリプトテク蔵)。頭に布を巻き、片手を胸に当てて俯く姿で、持物も従える獣もない。彫られているのは悲嘆そのものである。ビッセンは翌1858年に《イズン》も制作しており、この二体は19世紀デンマークが北欧神話の女神をどう造形したかを示す組をなす(イズンの項も参照)。

異教期の図像は知られていない。ただしノルウェー西岸で見つかった6世紀から7世紀初頭のセトレの櫛(Setre Comb)に刻まれたルーン銘文に、この女神への言及がある可能性が指摘されている。読みも解釈も定まっていないが、もし女神名であれば、文献資料より数百年古い証言になる。

19世紀以降の絵画では、ナンナはほぼ例外なくバルドルの死の場面に現れる。F・W・ハイネの《バルドルとナンナ》(1882年)、G・P・ジャコム=フッドの挿絵(1893年)などがそれにあたる。単独の主題として扱われるのは、ビッセンの像のような彫刻に限られる。

系譜と関係

父はネプ。夫はバルドル、子はフォルセティ。フリッグから見れば嫁にあたり、その関係がケニングとして定型化している。

サクソ版では系譜そのものが人間の王統に置き換わり、ゲヴァル王の娘となる。この版でナンナが結ばれるのはホテルス、すなわちエッダでは夫を殺すことになる相手である。

文化的足跡

デンマークのヨハネス・エーヴァルは歌劇『バルドルの死』(1773年執筆、1775年印刷)でサクソ版を採り、恋の対象としてのナンナに大きな役を与えた。デンマーク国民文学の出発点に置かれる作品である。

「夫の死を追って死ぬ妻」という像は、19世紀の北欧美術がとりわけ好んだ主題だった。ビッセンの像がそうであるように、この女神は自ら何かをする者としてではなく、失うことによって形を得た者として造形されている。原典が与えた行為は、倒れることと、贈り物を託すことの二つしかない。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

Nepr
NANNA
ナンナ
北欧神話
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資料

Wikidata
Q500390 — 骨格データの出典
Commons
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