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ムーサイオス
PLATE — ΜΟΥΣΑΙ͂ΟΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΜΟΥΣΑΙ͂ΟΣ

ムーサイオス

ムゥサイオス · ムサイオス · Mousaios

ArchaiOptix CC BY-SA 4.0

オルペウスと並ぶギリシアの伝説的詩人。エレウシースの秘儀をアテーナイに伝えたとされ、多くの託宣詩が彼の名に仮託された。

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解説

概要

ムーサイオス(Μουσαῖος / Mousaios)は、オルペウスと並ぶ「ホメーロス以前の詩人」とされる人物である。名は「ムーサに属する者」を意味する。

オルペウスと同じく、神話の人物としても実在の詩人としても扱われてきた。彼との関係も、弟子とも師とも息子とも単なる模倣者ともいわれ、定まらない。オルペウス、リノス、ムーサイオスの三人は、ギリシア人が文字以前の詩の起源を語るときに呼び出す名として、しばしば一組で並べられた。

神話・物語

出自は資料ごとに違う。エレウシースの秘儀の創始者エウモルポスと月の女神セレーネーの子とも、逆にエウモルポスの父とも、アンティオペーモスの子ともいう。リノスの子とも、その弟子にして愛人ともいわれる。出身地はトラーキアともエレウシースとも伝わる。

ニュンペーたちに育てられ、北風の神ボレアースから空を飛ぶ力を授かったとされる。予言と治病を行ったとも伝えられ、いずれもアポローン的な性格にあたる。アッティカにエレウシースの秘儀をもたらしたのは彼だという。

彼をめぐって重要なのは、物語よりも書物である。『託宣集』『神統記』『デーメーテール讃歌』、エウモルポスに宛てた『忠告』といった作品が彼の名に帰されたが、いずれも後代の仮託であり、断片しか残らない。プラトン『国家』は、こうしたオルペウスとムーサイオスの書物を手に、罪の浄めを請け負って戸口を回る祈祷師たちの姿を描いている。前6世紀のオノマクリトスが彼の託宣詩を偽作あるいは編纂したとも伝えられる。

古代の詩人の名が、教団と職業的な祈祷師の権威づけに用いられた実例として、この人物はオルペウス教の研究で繰り返し取り上げられる。

図像と象徴

本ページの主画像は、前5世紀後半のアッティカ赤絵式ピュクシス断片(メイディアスの絵師の周辺、アテネ国立考古学博物館 19636)で、竪琴を持つムーサイオスと、リュラを持つトラーキアの詩人タミュリスが、月桂樹の枝を執るアポローンとムーサたちのあいだに描かれる。人物には名の銘が添えられており、詩人が女神たちと同じ画面に並べられている点で、彼の位置をよく示す作例である。

なお、この断片に銘記されたムーサの名にはソピアー(知恵)が含まれる。九柱の定型が固まる以前、ムーサの名と数がなお動いていたことを示す資料でもある。

系譜と関係

父はエウモルポス、あるいはアンティオペーモス、あるいはリノス。母をセレーネーとする説がある。子にエウモルポスを挙げる資料もあり、親子関係が逆転する。オルペウスとの師弟関係も方向が定まらない。

系譜が一方向に定まらないこと自体が、この人物が実在の個人ではなく、詩の権威を仮託するための名であったことを示している。

文化的足跡

エウセビオスら初期キリスト教の著述家は、音の近さからこの名をモーセ(モーゼス)と結びつけ、ギリシアの知恵がヘブライの聖書に由来すると論じた。異教の古代とキリスト教を接続しようとする「古代神学」の議論のなかで用いられた同一視である。

五世紀のギリシア詩人ムサイオス——『ヘーローとレアンドロス』の作者——は同名の別人だが、中世からルネサンスにかけては、しばしば伝説の詩人その人の作と信じられていた。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q728059 — 骨格データの出典
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Musaeus of Athens — 図像カテゴリ